
カディラキャピタルマネジメントは「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションを掲げて活動しています。ミッション遂行のためには社内外のステークホルダーとの協力関係が欠かせません。私たちは投資対象企業との対話など、活動内容を具体的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を深めていくことを目指しています。
今月は以下の活動について報告します。
プレステージ・インターナショナル(以下、PI)は1986年に現社長の玉上進一氏が創業した、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主力事業とする企業です。
同社はBPOの中でもニッチな分野にフォーカスする方針を掲げている点に特徴があります。例えば、オートモーティブ事業という主力サービス(売上と利益ともに約40%の構成比)はクルマの事故や故障の際の対応である、いわゆるロードサービスを提供する業務です。同社は単なる電話受付だけでなく、レッカー車の出動も業務範囲としているため、一般のコールセンター業務に比して圧倒的に高い参入障壁がある事業となっています。
PIの事業運営の特徴の一つにBPOセンターを、人口密度の低い日本海側(東北や北陸)に集中して展開していることが挙げられます。その理由の一つは、日本でのロードサービスの出動要請は台風の際に増えることから、台風被害が少ない地域を選んでいることにあります。また、もう一つの理由として、これらの地域は太平洋側に比べて交通網が発達していないなどの理由で製造業進出が少ないことから、スタッフを採用しやすいというメリットがあります。ただし、PIが採用しやすいということは、裏を返すとこれらの地域は雇用機会が少ないということを意味しており、それが理由で人口が減少傾向にあるという社会課題を抱えています。人口減少はPIの事業の将来性にとっても重要な問題であることから、同社はその解決のために地元行政とも連携して、働きやすい環境の整備や地域振興策などの取り組みを行っています。
また、PIは「エンドユーザーの困ったことに耳を傾ける」という理念を軸に事業展開を行っていますが、それが顕著に表れている事例は電動車(EV)への対応です。実は同社のロードサービスの出動件数のうち、事故の対応は全体の10~15%で、残りの85~90%を占める故障やガス欠などのトラブルが占めています。事故対応はクルマの安全機能が高まるとともに需要が減る一方で、故障はクルマの電動化によって増加傾向にあり、今後はEV化の進展でバッテリー切れの問題の増加も懸念されます。そこで、PIは、自社のレッカー車の全てに充電機能を付けることでトラブル対応力を高めています。このようなユーザー目線での機敏な経営判断は、競合のJAF(日本自動車連盟:非営利組織)に対しての差別化要素になっていると思われます。
さて、カディラキャピタルマネジメントはPIと継続的に対話を行っています。最新のミーティングでは、玉上社長を交えて財務戦略について意見交換を行いました。同社は毎年安定的に収益を生んでおり、バランスシートに着実に現金がたまっていく財務構造となっています。会社側はコールセンター拠点施設への投資資金や海外事業における決済資金のために手元流動性を厚くしておきたいという考えのことから、総資産の3分の1超を現金で保有しています。強固な財務基盤は良いことですが、一方で現金がたまりすぎると財務効率の低下が懸念されます。私たちからは最適な現金保有の目線を示すことと、その上で余剰資金が発生する場合は株主還元に回すという合理的な選択が、投資家との理解を深めることに有意義であるという意見を伝えました。
カディラキャピタルマネジメントは業界の健全な発展のために、民間の声を行政当局に伝えることが必要であるという考えを持っています。私たちの業務には金融庁が特に関わりが深いことから、その動向に注目をしており、パブリックコメント募集に応じて意見を提出するなどしてコミュニケーションを取っています。
この度、3月15日に金融商品取引法の改正案(*)が発表されたことを受けて、カディラでは金融庁の担当者と対話の機会を設けました。今回の改正においては資産運用の高度化・多様化を促進するための施策として、投資運用会社に対する資本や人的構成などの要件が緩和されることとなっており、これによって投資運用会社を新設しやすくなることとなります。このような議論については当事者である新興の投資運用会社(EM:Emerging Manager)が積極的に関与すべきところですが、金融庁と積極的にコミュニケーションをとろうとするEMはあまりいない模様です。
カディラでは、官民での対話がより深まるように、金融庁と同業のEMをつなぐ活動をしていくことも、「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」という私たちのミッションを遂行することの一部であると考えて、真摯に取り組んでいく方針です。
*金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案
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