この方針(以下「本方針」という。)はカディラキャピタルマネジメント株式会社(以下、「当社」という)のサステナブル投資に関する基本的な事項を定め、もってその権限と責任の明確化を図ることを目的とする。
1.1 投資哲学
当社は、「『サステナビリティのための投資』が長期的に優れたリターンをもたらす」という投資哲学を持っている。この信念は、以下に示す3つの観点に基づいている。
(1) 優れたサステナビリティ対応は企業価値を増大させる
企業のサステナビリティ対応の巧拙は企業価値に長い時間をかけて強い影響を与える。企業は事業を通じて地球環境(気候、生物多様性、循環型経済などを含む)や社会(人権、人的資本、社会秩序などを含む)に影響を与えるが、反対に地球環境や社会から影響を受けるという相互の関係にある。よって、外部に与えたポジティブな影響は、やがて自社への価値向上として返ってくる。逆もまた然りで、ネガティブな影響は、将来的に企業価値の低下として顕在化するであろう。
(2) サステナビリティを起点にした投資プロセスは質の高い投資機会に通じる
サステナビリティが企業価値に影響を与えるのであれば、それを伝統的なバリュー投資のフレームワークに統合することで、投資プロセスを高度化することが可能となる。例えば、投資対象企業のファンダメンタルズを分析する際に、財務情報に加えて非財務情報を活用することで解像度の高い実像の把握が可能となる。サステナビリティ対応は常に変化しているため、世界の動向を把握して新しい知見を投資プロセスに先駆的に導入することで、質の高い投資機会をいち早くとらえることができる。
(3) サステナビリティを重視する投資家のエンゲージメントは企業にポジティブな変化をもたらす
長期的な発展を目指す企業にとって、サステナビリティを重視する投資家の声は有益な経営判断材料の一つであると言える。見識のある投資家が情報、要望、提案などを伝えることは企業にアイデアと規律を与え、長期的に企業全体を大きく変化させる力となる。長期目線の経営姿勢は、しばしば短期的な利益を求める投資家の意見と相反することがあるが、そのような場合に経営者と同じ長期目線をもった投資家のエンゲージメントは、経営者が信じる道を歩む勇気をもたらす。
1.2 定義と適用範囲
当社ではサステナブル投資を、「投資判断及びエンゲージメント活動において、ESG(E:Environment(環境)、S:Social(社会)、G:Governance(ガバナンス))要素およびインパクト創出の観点を加味する投資」と定義する。当社では全ての投資戦略においてサステナブル投資を実践する。
(1) 気候変動方針
当社は、地球環境の保全が人類共通の課題であり、持続可能な社会の実現に不可欠であると認識している。資産運用会社としての受託者責任を果たすため、投資先企業や社会全体における環境課題の解決に取り組み、持続可能な経済・社会の実現に貢献する。
① 投資活動を通じた貢献
- 環境課題の解決や地球環境保全に資する企業・プロジェクトへの投資を推進する
- 脱炭素社会の実現を目指し、2050年カーボンニュートラルの達成に資する投資行動を取る・気候変動に関する情報開示を行なう
② 事業活動での取り組み
- 省エネルギー・省資源・再利用(3R)の推進を通じて、自社事業における環境負荷を削減する
- 環境に配慮した商品・サービス調達を行う
③ ステークホルダーとの協働
- 投資先企業、顧客、従業員、地域社会などステークホルダーとの対話を通じ環境課題解決に取り組む
④ 教育・浸透
- 役職員の環境問題に対する理解を深め、日常業務で環境配慮を実践できるよう研修や啓発活動を行う
⑤ 遵守事項
- 環境関連法令・規範を遵守し、国際的な枠組みや業界ガイドラインを尊重する
(2) 人権方針
当社は、国際的に認められた人権を尊重することが、持続可能な社会の実現に不可欠であると考える。資産運用会社として、投資活動および事業活動において人権侵害を助長しないことを約束し、多様性と包摂性を重視した企業文化を醸成する。
① 投資活動を通じた貢献
- 人権尊重に取り組む企業・プロジェクトへの投資を推進する
② 事業活動での取り組み
(a) 人権尊重の取り組み
- 人種、国籍、性別、性的指向、性自認、障がい、信条などによる差別を一切認めない
- 児童労働、強制労働、あらゆる形態のハラスメントを容認しない
- 労働者の結社の自由、団結権、団体交渉権を尊重する
(b) 健全な職場環境
- 従業員が心身ともに健康で、安全かつ安心して働ける職場を整備する
- ワーク・ライフ・バランスを支援し、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境をつくる
③ ステークホルダーとの対話
- ステークホルダーと建設的な対話を行い、人権課題に適切に対応する
- サプライチェーン全体においても人権尊重を求め、協力を推進する
④ 教育・啓発
- すべての役職員に対して教育・研修を実施し、人権尊重を浸透させる
⑤ 遵守事項
- 人権関連法令・規範を遵守し、国際的な枠組みや業界ガイドラインを尊重する
1.3 ガバナンス体制
取締役会は、当社が本方針を実施し、その目的と目標を達成することを確実にするための最終的な監督と説明責任を負う。取締役会は、本方針の実施とその監督をチーフ・インベストメント・オフィサー(以下「CIO」という。)に委任する。
CIOは年に一度、本方針についてのレビューを行い、取締役会に報告を行う。レビューにおいては既存の投資プロセス及び新規の取り組みが本方針に合致しているかを確認する。また、本方針と不整合な場合や実践に問題があると判断された項目についての改善案も報告事項に含む。CIOは定期的に運用担当者のサステナブル投資についての実践能力や、実際の投資プロセスにおけるESG要素の組み込み状況を確認し、取締役会に報告を行う。また、その状況を踏まえた改善に向けた取り組みを実施する。
当社では、サステナブル投資に係るKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を当社の役職員の定量的及び定性的な当社の業績への貢献度として報酬に反映させる。現在の会社の規模を考慮し、当社ではサステナブル投資の直接的なアウトカムをKPIとし、役員の業績を評価している。サステナブル投資の直接的なアウトカムの詳細は原則として年次で発行されるレポート等によって明示される。
当社の『サステナビリティのための投資』は長期的に優れたリターンをもたらすことから、長期的な顧客利益の最大化に資するものである。また、エンゲージメントにおいては、顧客や関係企業との間で利益相反が生じる可能性のある投資活動の種類を事前に特定する。ここでいう利益相反が生じる可能性のある状況とは、投資先企業と業務上または資本上の関係を有している場合を指す。
当社では、取締役が当社のサステナブル投資を監督するための特定のスキルを身につけるトレーニングを社外のリソースも活用しながら定期的に提供する。
本方針の所管は、投資運用部とする。本方針は、法令の変更、監督官庁の指示、その他必要が生じたときは改定を行う。本規定の改廃は、取締役会の決議による。
1.4 実施体制と要項
当社では投資運用部が投資運用に加えてESG分析とエンゲージメントも行う、統合型の体制を敷く。
当社は、ポートフォリオを構築する際に、スクリーニング、インテグレーションの2つのアプローチを組み合わせて、サステナビリティを考慮する。
(1) スクリーニング
当社は、後述の「投資除外方針」に基づき、主要事業が社会に重大な悪影響を及ぼす企業や、サステナビリティに疑問のある企業を投資対象として不適当と判断し、投資除外銘柄に指定し投資ユニバースから除外する。投資運用部は当該投資除外銘柄に係るESG除外リストを作成する。
(2) インテグレーション
リスク管理並びにリターン向上のため、企業価値評価のフレームワークにサステナビリティへの配慮を明示的かつ体系的に組み込む。
また、当社はアクティブオーナーとなり、後述の「エンゲージメント方針」に基づき、対話や議決権行使といったエンゲージメント手法を通じて投資先企業のサステナビリティに係るリスク管理の改善や、よりサステナブルなビジネスの開発を促し、投資先企業のサステナビリティ向上へ貢献する。
(3) 対話
当社は後述の「投資活動における対話方針」に基づき、ESG課題やについて投資先企業と議論し、情報開示を含む対応の改善を促す。当社のみで行うことも、他の投資家等と共同で行うこともありうる。
(4) 議決権行使
当社は後述の「議決権行使方針」に基づき、特定のESG課題に関する決議への投票や株主総会決議の提案を通じて、賛否を表明する。
1.5 レポーティングと透明性の確保
当社は、サステナブル投資に関する活動の内容を年に一度公表する。
2.1 投資除外となる企業の基準
当社は、地球環境(気候、生物多様性、循環型経済などを含む)や社会(人権、人的資本、社会秩序などを含む)に強い負の影響を与える事業や、ステークホルダー価値・経済価値のいずれか、あるいは両方の観点から投資に適さない事業を主な売上とする事業については、投資対象から除外する。従って、以下の事業売上高基準に該当する企業は除外する。
(1) アダルトエンターテインメント
売上高の5%以上を風俗・ポルノに関連する事業から得ている企業。
(2) アルコール
アルコールの製造から売上高の5%以上を得ている企業。また、アルコール含有製品から5%以上の売上を得ている小売業者。
(3) 従来型石油・ガス会社
当社は、売上高の5%以上を石油・ガス事業から得ている企業。石油・ガス事業とは、石油・ガス資産の探鉱、生産、精製、輸送、貯蔵を行う企業を指す。
(4) ギャンブル
売上高の5%以上をギャンブル事業運営、ギャンブル機器製造、ギャンブル関連部品の製造から得ている。
(5) 電力生産
非再生可能エネルギー源からの発電に携わる企業。
(注:当社は、貢献活動を行う企業への投資を目的としており、これらはEUタクソノミーに含まれるものと定義される。データがまだ公開されていない場合やEUタクソノミー以外の活動については、持続可能な開発目標(SDGs)で定められている環境または社会の目標に貢献する経済活動である。)
(6) 石炭の採掘
一般炭の探査、輸送、流通、精製、または専用機器やサービスの提供から5%以上の収益をあげている企業。この閾値に関係なく、一般炭の採掘事業を拡大している企業。
(7) タバコ
タバコ製品を製造している企業、売上の5%以上をタバコの関連部材の生産から得ている企業、売上の5%以上をタバコ製品の販売から得ている小売企業。
(8) 非従来型石油・ガス
① 非従来型石油・ガスの採掘に積極的な石油・ガス会社。考慮される非従来型採掘の種類:
-北極圏での掘削
-シェールオイル/ガス
-タールサンド
② 閾値:
-収益シェアが5%未満
-拡張計画がない
(9) 武器
① 非人道的兵器
対人地雷、クラスター弾、劣化ウラン、生物・化学兵器など、民間人に不釣り合いかつ無差別な影響を与えうる兵器の生産、製造、販売に直接または間接的に関与していると定義される、論争の的になる兵器の生産に関する活動を行う企業。
② 軍事請負と小型武器
売上高の5%以上を軍事契約や小型武器の製造から得ている企業。これは、武器輸出規制の対象となる戦争兵器の製造、研究開発、管理/サービス/メンテナンス、統合またはカスタマイズ、試験、販売/取引に関与することと定義される。
2.2 企業行動評価による除外基準
本基準は、以下の項目に該当し、論争が深刻と判断される企業への投資を排除する。この基準は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の原則やOECD多国籍企業ガイドラインに沿ったもので、企業の行動を評価するものである。
投資先企業が以下のいずれかに該当し、論争の深刻さが確認された場合、当社で保有する全株式を売却する。また、深刻度が低い場合は、投資先企業を観察し、エンゲージメント活動を行い、改善を求める。
また、過去に問題があった企業については、問題が完全に解決され、再発の可能性がないことを確認した上で投資を行い、投資期間中は改善のためのエンゲージメントに努める。
(1) 人権保護に批判的な企業、人権侵害に加担している企業
(2) 労働組合の結成や団体交渉を排除したり、強制労働、児童労働、職場や仕事における差別を実践している企業。
(3) 環境問題の予防に批判的な企業、または環境技術の普及を妨げている企業
(4) 強要や汚職を行う企業
(5) 生物多様性を犠牲にしている企業
(6) 水資源に悪影響を与える企業
(7) 意図的な脱税を行う企業
(8) 独裁的なガバナンスシステムを持つ企業
当社は、投資先企業の選定・モニタリングプロセスにおいてエンゲージメント活動を重視し、以下の方針を定める。
3.1 活動の目的
当社のエンゲージメント活動の目的は、投資先企業が世界に良い影響を与えながら企業価値を高めることにある。投資先企業一社一社を向上させることは、持続可能な社会の構築に貢献し、中長期的な戦略のパフォーマンスを高めることとなる。
3.2 プロセス
対話、委任状による議決権行使、ファンドマネージャーからの意見書などのエンゲージメント活動を通じて、投資先・投資候補先企業の活動に好循環をもたらすよう支援する。エンゲージメント活動は文書化し、企業の対応状況も含めて進捗を確認する。また、活動事例を定期報告書やホームページで公開するとともに、アセットオーナーをはじめとするステークホルダーから意見・要望を収集し、エンゲージメント活動の改善に努める。
3.3 企業の不祥事への対応
企業に不祥事が発生した場合やステークホルダーに不利益が生じている場合には、その状況が速やかに解消されるように働きかける。また運用リスク管理規定に基づき、投資運用部の投資判断についてのコメントを取締役会にて報告を行ない、事績として保存を行なう。
3.4 利益相反管理
当社は、顧客や関係企業との間で利益相反が生じる可能性のある活動の種類を事前に特定する。利益相反が生じる可能性のある状況とは、投資先企業と業務上または資本上の関係を有している場合である。
3.5 インサイダー情報
投資先企業との対話において、未公開の重要情報を当社から求めることはしない。万一、未公開の重要情報を入手した場合は、「内部者取引管理規程」に基づき適切に管理し、当該銘柄の売買制限を行うなどして対処する。
当社は上場日本株式投資戦略における投資対象企業との対話において、以下のガイドラインを設定する。
4.1 建設的な対話
私たちは、投資対象企業とのミーティングがより建設的な対話を行う場になるように心がけます。建設的な対話とは、投資家と企業が共に気付きを得て信頼関係を強化することを目的とした対話のことを指します。
4.2 相互の意見交換
私たちは、企業から意見や質問を受けることを歓迎します。情報収集に終始するのではなく、相互の意見交換を通じて、長期にわたり価値を生み出し続けることを目指しています。
4.3 IR体制への関心
私たちは、経営体制はもちろんIR体制についても関心を払います。IR部門が適切に情報開示をするとともに、資本市場の声を経営に反映する窓口の役割を果たすことが、企業の発展に必須であると考えているからです。
4.4 サステナビリティの重視
私たちは、投資プロセスにおいて財務情報と同等以上にサステナビリティを重視します。企業の財務と非財務の統合思考を後押しするために、投資担当者がサステナビリティについての対話も行います。
4.5 活動内容の報告
私たちは、スチュワードシップ責任の一環として、対外的にエンゲージメント活動の報告を行ないます。報告内容として、具体的な対話内容に言及する場合もありますが、その際は企業の事業推進の妨げになることがないように細心の注意を払います。
5.1 基本方針
当社は議決権行使にあたって、対象企業の株主及びステークホルダーの利益を考慮して指図を行うことで持続可能な地球環境(気候、生物多様性、循環型経済などを含む)や社会(人権、人的資本、社会秩序などを含む)の構築に貢献し、結果として長期的な顧客利益に資することを目指します。
当社では企業選定プロセスにおいて経営方針に賛同した上で投資を行っているため、経営陣の方針を尊重することを基本とします。ただし、株主及びステークホルダーの利益に反すると考えられる議案に対して明確な説明がない場合は反対あるいは棄権の意思表示を行います。
5.2 体制
当社では取締役会が議決権行使指図に関する最終意思決定機関として、議決権行使の指図について責任を負います。
個別議案の意思決定において、取締役会は、原則としてその権限を当該顧客資産の投資運用部に委任します。投資運用部は当該議決権行使指図方針に従い個別に議案を精査して賛否の判断を行います。
5.3 指図ガイドライン
当社は議決権行使指図に際は「議決権行使の基本方針」に則り全議案に対して個別に判断を行います。なお、以下に該当する議案については特に慎重に検討します。
・ 株主及びステークホルダーの利益を毀損しかねない議案
・ 取締役会の活性化を阻害しかねない議案
・ 経営陣の保身につながりかねない議案
・ 経営陣に過度なリスクテイクを促しかねない議案
・ 他の株主から提案された議案
5.4 結果の開示
当社は議決権行使活動の透明性を確保するため、原則として一年に一回、議決権行使結果を自社ウェブサイトにて開示を行います。開示においては個別の議案について開示を行い、会社提案に反対する場合及び株主提案に賛成する場合についてはその理由も併せて開示します。
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