2026/6/23

環境価値を成長力へ ― ダイセキの循環型ビジネスと競争優位の源泉

今回はダイセキの企業概要とカディラのエンゲージメント活動をご紹介します。

ダイセキの沿革

ダイセキは1938年、創業者の故・伊藤治雄氏が名古屋市で創業した金属小物加工業を源流としています。1945年に油脂精製業に転身し、1958年に拠点を構える名古屋市の「大同町」の名にちなんで、株式会社大同石油化学工業を設立しました。当初は潤滑油を製造していましたが、1960年代の工業化による環境汚染の深刻化に対処すべく、潤滑油のリサイクルを開始しました。1972年にはリサイクルを主力業務に据えるべく、名古屋市で産業廃棄物処理業者として許可取得。その後、取り扱い品目を廃液全般に広げて幅広い顧客の需要に対応できる体制を整え、全国に事業拠点を展開していきました。1984年に社名を現在のダイセキに変更し、土壌処理や鉛バッテリーリサイクルなどに事業範囲を拡大して、現在に至ります。

ダイセキの事業モデル

ダイセキは顧客先から廃液や汚泥を回収し、自社工場で再資源化の処理を行います。同社は受け入れる廃棄物について、事前にサンプルを預かって自社内で分析を行い、それがリサイクルできることを確認してから処理を受託します。よって、残渣以外は再利用されることになり、リサイクル率(*1)は約9割と廃棄物処理業者でありながら、高いリサイクル率を誇っています。

ダイセキの売上は、廃棄物を引き取る際の処理料が中心で、それに加えて再資源化したリサイクル製品の販売でも収益をあげています。再生燃料の売上は2026年2月期で売上の11.7%を占めます。また再生燃料として使えない物質についてはセメント原料としてセメント企業に費用を払って引き取ってもらう形となります。例えば重金属など、通常では処分が難しい素材についても、セメント製造工程の高温においては無害化されるため、費用を払ってでも引き取ってもらうことが、環境対応と事業の安定継続の観点から理にかなった対応となっています。

ダイセキの環境貢献

ダイセキがもたらす環境貢献は大きく二つの観点で確認することができます。一つはリサイクルの推進です。上述の通り、同社は受け入れた廃棄物の約9割をリサイクルしていますが、研究開発によって自社がリサイクルできる品目を増やすことで、リサイクル率を高位に保ちながらの成長を実現しています。当初は廃油のみを対象としていましたが、技術の高度化によりアルカリ性や酸性の廃液、土壌、鉛バッテリー、石膏ボードなどにも品目を広げています。また、直近ではプラスチックやアンモニアなどの気体にリサイクル対象を拡大する動きを見せています。

もう一つの環境貢献はCO2排出量の削減です。同社の開示によると2025年2月期実績で64.3万トン(*2)の排出削減に貢献したことが報告されています。顧客企業からすると、CO2排出のスコープ3のうちカテゴリ5(事業活動から出る廃棄物の輸送・処理に伴う排出)を、ダイセキに委託することで削減できる点がメリットとなります。なお、64.3万トンという数値はダイセキ自身のCO2排出量(スコープ1+2で3.6万トン、スコープ3で17.3万トン:2025年2月期)と比較しても、大きな数値となっており、事業を通じて環境に貢献している様子がうかがえます。

カディラのエンゲージメント

カディラはダイセキの事業についてより深く理解することを目的に、2026年4月に同社の名古屋本社を訪問し、隣接する工場見学を実施しました。今回は山本社長にご対応いただき、廃棄物の受け入れから再資源化のフロー全体について、歴史や企業風土を絡めて説明がなされました。処理ノウハウの蓄積をベースに構築された処理設備による高い競争力や、顧客業種の分散によるリスク管理など、業績を安定成長させるための戦略について理解を高めることができました。加えて、山本社長からは投資家との対話の方針など、関連事項についての詳細説明もなされるなど、対話重視の姿勢を強く感じる訪問となりました。

なお、ダイセキはカディラがサステナビリティ重視の投資家であることについて、高い関心を示しており、ミーティングにおいては山本社長から、IR活動のあり方について意見を求められました。カディラ側からは、当日受けた創業の経緯などの歴史を踏まえた経営方針の説明が事業の本質を理解することに非常にプラスになったということを伝え、今後の開示情報に盛り込むことを提案しました。また、事業成果について、非財務情報も含めて、より分かりやすく開示することを期待しているという意見を伝えました。

環境に貢献しながら安定成長を目指すダイセキの姿勢はカディラの求める経営姿勢に合致することから、今後も同社の事業進捗に注目し、対話を通じた支援を行っていく方針です。

創業者の銅像と経営理念を囲んでの撮影

右から、ダイセキの山本社長、カディラの松下、カディラの清水、ダイセキの早川氏

 

*1 リサイクル率=(廃棄物受入量―中間処理残渣)÷廃棄物受入量

*2 ダイセキグループのリサイクル事業によるCO2削減貢献量(Scope1、2、3以外でのCO2削減貢献量)

https://www.daiseki.co.jp/sustainability/environment/carbon.html#haisyutu

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