2023/11/10

活動報告(2023年10月)

カディラキャピタルマネジメントの2023年10月の活動として、投資対象企業との対話内容を報告します。

 

私たちは、エンゲージメント活動を具体的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を深め、「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションの遂行を目指しています。

 

三井不動産との対話

三井不動産は日本有数の不動産会社で、物件の開発と運営の両方を行っています。オフィス、住宅、商業施設など幅広い用途において専門性を有しており、近年はこれらを組み合わせた複合開発案件によって物件の価値を高めるという施策を進めています。

三井不動産は東京駅の東側に位置する日本橋や八重洲エリアを重点地域として定め、地域全体の活性化に取り組んでいます。その中でも、同社が注力しているのは「産業デベロッパー」というコンセプトの取り組みです。日本橋は、古くから薬問屋が集積していたという歴史があることから、これを活かしてヘルスケア産業に関連する企業を誘致して、クラスターを形成する取り組みを行っています。具体的には、ライフサイエンス関連の非営利組織「LINK-J」を設立し、そこを中心にイベントを開催することで産業内のネットワーキングを促進する取り組みを行っています。イベントは年間で800回以上開催し、動員数は20万人以上に達します。コミュニティを活性化した上に、三井不動産は「ライフサイエンスビル」と銘打った賃貸ビルを構えることで、本業である不動産ビジネスの発展につなげる体制を整備しています。現在、日本橋エリアでのライフサイエンスビルの展開は15棟に達しています。同社は日本橋エリアのオフィス賃料が周辺に比べて高い理由の一つとして、この産業デベロッパーの取り組みが成功していることを自負しています。

また、三井不動産はウェルビーイングの観点から企業の健康経営に強い関心を寄せています。同社自身が「健康経営銘柄2023」に選出されたことに加え、顧客の健康経営をサポートする「&well」というサービスを提供しています。アンケートによれば、「&well」の顧客企業の80%が従業員の健康意識が向上したと回答しており、健康増進への取り組みは成果に結びついていることが伺えます。

カディラキャピタルマネジメントでは、三井不動産の取り組みが科学技術の振興、ウェルビーイング、経済発展などの観点で世の中にポジティブなインパクトを生み出していると評価しています。また、このような取り組みは、三井不動産の企業ブランド向上や、投資家からの評価改善を通じて企業価値向上に寄与することも期待できます。今後の見通しという観点からは、「産業デベロッパー」の取り組みを現場で主導してきた植田氏が2023年4月にCEOに就任し、全社的に付加価値の拡大を目指す方向を打ち出していることから、同社の活動は更に良い方向に加速することが期待されます。

カディラは三井不動産とのIRミーティングの中で、同社の活動の質が向上していることを評価しているという意見を伝えるとともに、ポジティブなインパクトの創出が続くように、管理体制を強化することを推奨しました。インパクトの管理体制を強化する上で重要なのは、適切な指標を設定し目標と実績を開示することありますが、その際には「イベント回数」などの活動件数だけでなく、活動が波及して生み出されたアウトカム指標も計測できると、活動の意義がわかりやすくなります。例えば、ライフサイエンスビルの顧客企業の事業進捗や研究成果が、他のビルの企業に比較して有意に高ければ、同社の取り組みが効果的に機能していることを推定できるでしょう。会社側は私たちの意見に納得感を示していたことから、今後の開示の改善が期待されます。

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