2026/2/20

多様性が拓く資産運用立国 ― IMCとともに担うカディラの役割

今月は、Independent Managers Club(IMC)での活動についてご紹介します。IMCは、野村総合研究所のR&Dプロジェクトとして2023年10月に発足した、日本の独立系や新興の資産運用会社を支援・育成するための研究・活動団体です。本稿では、IMCの活動紹介に先立ち、その背景にある日本の「資産運用立国」政策や、新興運用会社を取り巻く現状と課題について整理します。

 

日本の「資産運用立国」政策と独立系運用会社の役割

2023年に政府が始動させた「資産運用立国」政策は、単なる貯蓄から投資へのシフトにとどまらず、日本の資産運用業自体の構造改革を目指しています。 従来、日本の運用業界は金融グループ系列が中心であり、運用判断の同質化や競争環境の硬直化が、アセットオーナーにとってのリスク分散や超過収益獲得の機会を狭めているという課題が指摘されてきました。

 

こうした現状を打破し、市場に健全な競争と多様性をもたらす存在として、「独立系・新興運用会社(Emerging Managers/EM)」への期待が高まっています。 政府が策定した「アセットオーナー・プリンシプル(原則3)」においても、運用会社選定にあたり「業歴や規模のみで排除せず、運用者の能力や投資哲学を評価すること」が明記されました。また、「新興運用業者促進プログラム(EMP)」の推進により、新たな才能の発掘が市場全体の活性化に不可欠であるという認識が広がっています。

 

IMCの活動概要

IMCは、日本政府が掲げる「資産運用立国」政策や、アセットオーナーが最適な運用会社を選定するための原則「アセットオーナー・プリンシプル」といった動きに呼応して活動しています。上述の通り、日本の資産運用業界は、競争や多様性が生まれにくいという課題があります。そこでIMCは、新たに独立・起業しようとする資産運用会社が活躍できる環境を整えるため、どのような支援が必要かを研究し、その存在意義や強みを国内外のアセットオーナーなどに発信する役割を担っています。

 

主な活動としては、独立系や新興のマネージャー、アセットオーナー、国内外の有識者を集めたワークショップや対話を定期的に開催しています。これらのセッションでは、欧米や豪州の専門家を招いてマーケティングやビジネス運営の手法を学ぶほか、海外の公的年金基金などに対して日本の運用会社が自らの投資哲学や戦略を直接説明し、フィードバックを受ける機会も設けられています。

 

活動は半期ごとの「シリーズ」として展開されており、段階的にその内容を深化させています。第1〜3期では海外の事例学習やマーケティング、参加者同士の相互理解を中心に行われましたが、第4期からは国内のアセットオーナーや年金コンサルタントを巻き込み、日本市場での実質的な課題解決に向けた議論へと発展しました。さらに、政府の「アセットオーナー・プリンシプル」に対するパブリックコメントへの意見提出や、新興運用業者促進プログラム(EMP)の普及啓発など、政策や制度への働きかけも積極的に行っています。

2026年に予定されている第5期では「競争力と成長力における日本市場の課題とEMの未来」をテーマに掲げ、アセットオーナーとEMに期待される役割について議論するワークショップや東京証券取引所において上場企業向けのパネルやフリートークイベントなどが計画されており、引き続き、積極的に取り組んでいく方針です。

 

カディラキャピタルマネジメントの取り組み

カディラでは、IMCが発足した当時から参加をし、積極的に登壇や質疑を行うなど中心的なメンバーとして活動しています。これは国内外のアセットオーナーと直接つながりを持つ機会であると同時に、新興系のマネージャー同士のネットワークの場でもあり、情報交換や相互研鑽を行うことができる貴重な場となっています。サステナビリティやインパクト志向の投資家を増やすことや、これから創業を行う運用者の模範となり、業界全体の活性化につながれば良いとの考えから活動を継続しています。

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