
カディラキャピタルマネジメントは「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションを掲げて活動しています。ミッション遂行のためには社内外のステークホルダーとの協力関係が欠かせません。私たちは投資対象企業との対話など、活動内容を具体的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を深めていくことを目指しています。
今月は以下の活動について報告します。
今月は当社が主催した「ステークホルダーとの対話の進め方と経営戦略への実装」と題したセミナーイベントについて報告いたします。
当社は7月25日に気候関連NPOであるコーポレート・アクション・ジャパン(CAJ)と共同開催で企業のIR担当者・サステナビリティ担当者、約20名を対象にセミナーとワークショップの二部形式のイベントを行いました。
第一部のセミナーはパネルディスカッション形式で、国際労働機関(ILO)の駐日代表である高﨑真一氏、CAJのCEOである竹内靖典氏、リクルートホールディングスのIR担当の大野美希子氏三名に登壇いただき、カディラの清水がモデレーターを務めました。高﨑氏からは人権対応の重要性と国際機関の立場として企業を支援していきたいという意向が述べられました。竹内氏からは企業価値向上を意識したNPOエンゲージメントの意義についての説明がなされました。大野氏からはリクルートホールディングスが投資家や市民社会を含む多様なステークホルダーとの対話を通じて経営の高度化を図っているという取り組みが紹介されました。
第二部はワークショップとして、まずサステナビリティ対応が企業価値に及ぼす影響を体感する個人ワークを行いました。具体的には温室効果ガス(GHG)の削減に貢献する製品の投入、製造工程におけるGHG排出の増加、人権対応の不備などの企業行動が成長可能性や資本コストに影響を与えることを感じ取る内容のワークです。その後、参加者は3~4名のグループに分かれてパネルティスカッション及び個人ワークを踏まえて意見交換を行いました。サステナビリティ対応について定量的に計測することやステークホルダーの意見を吸い上げることの重要性について再認識する発言が多かった一方で、ESG調査機関のアンケート対応の業務負荷の多さなど、組織における課題についても共有がなされました。
イベント終了後、参加者からはサステナビリティについてのインプット機会を得られたことや具体的な対話手法など実務的な話が聞けたことを評価するフィードバックが寄せられました。また、IRコミュニティにおける人脈作りとしても良い機会になったという意見が寄せられました。また、当社としては、参加企業に対して経営改善へのヒントを提供するというエンゲージメントの側面と、企業の抱えている課題を把握するという調査の側面の両面において成果の大きいイベントとなりました。関係者からはポジティブな意見が多かったことから、今後また同様のイベントを行うことを検討しています。
住友林業と行なった対話について、ご紹介します。
カディラキャピタルマネジメントは、投資対象企業と対話を行なう際、通常は経営陣やIR部門とミーティングを行ないますが、特定の分野について深堀りをする目的などで、事業現場の方との対話も積極的に実施しています。先日は、当社のアドバイザーでもある環境系NPOと共に、住友林業でインドネシアの森林事業を担当されていた方とミーティングを行ないました。
住友林業の主力事業は国内外における住宅事業ですが、社名が示す通り祖業は林業であり、国内外で約29万haの森林を保有・管理しています。このうち、インドネシアでは、約17.2万ha保有しており、木材生産を目的とした「生産林」の管理と、生態系の保全およびCO2の吸収・固定を目的とした「環境林」の管理を行なっています。また、地域社会との共生を通じて、広域の環境保全を図りながら、木材の安定供給と地域経済の発展に寄与しています。
今回紹介された活動の中で特筆すべきは、熱帯泥炭地保全の取り組みです。熱帯泥炭地とは、高温多雨の熱帯地域に広がる地下水位の高い湿地で、樹木の枝や葉など有機物の遺骸が十分に分解されずにできた泥炭が数千年間蓄積してできた土地のことです。泥炭地の特徴の一つは、大量の水と非常に燃えやすい炭素を抱えていることであり、火災などにより大量の二酸化炭素が大気中に放出されるリスクがあります。実際、エルニーニョ現象で火災が発生し、煙害が周辺国にも健康被害を及ぼす事態に発展している様です。またそこに生息する動植物への影響など生物多様性も懸念されます。
同社はインドネシア政府の許可を受け、大規模な熱帯泥炭地の保全と植林を実施しています。保護すべき森林と植林事業のために活用すべきエリアをゾーニングし、それぞれの役割に応じた管理を行っています。泥炭地の保全については、特に水位を維持するのがポイントの様ですが、これだけの大規模なエリアにおけるソリューションは世界でも類がなく、コンゴなど他国へのノウハウの輸出も期待したいところです。
ミーティングでは、これらの環境保全と経済性を両立した取り組みによるインパクトについて議論を行ないましたが、同社ではネイチャーの分野についてアウトカム、財務的・金銭的因果関係の可視化を次のチャレンジと考えている様です。ネイチャーポジティブに向けた流れの中、森林の持つ公益性が果たす役割は益々大きくなることが想定され、同社の取り組みについて継続的にフォローしていきたいと考えています。
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