2023/10/13

活動報告(2023年9月)

カディラキャピタルマネジメントの2023年9月の活動として、投資対象企業との対話内容を報告します。

 

私たちは、エンゲージメント活動を具体的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を深め、「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションの遂行を目指しています。

日本電信電話との対話

日本電信電話(以下、NTT)は日本最大の通信会社です。近年はITシステム開発やデータセンター事業で海外展開を推進しています。

NTTは顧客企業と連携したサービスを開発し、社会に価値を提供するというコンセプトの「B2B2X」という事業モデルを展開しています。B2B2XによってNTTの顧客企業が最終的に提供しているソリューションの事例としては農林水産業の効率化や流通サービスにおける顧客体験の改善などが挙げられます。NTTはこの分野について売上高の目標を6000億円と掲げ、前期に1年前倒しで達成しました。

私たちは最新のNTTとの対話において、同社が社会価値提供について数値目標を明示し、進捗管理している点をポジティブに評価するということを伝えました。その上で、売上金額だけでなくB2B2Xを通じてサービスを提供した最終ユーザーの動向(ユーザー数や提供した効用など)を計測して開示することを提案しました。それによって同社が社会に提供している価値を解像度高く把握することができるようになるためです。
NTTは私たちの考え方に納得感を示しました。顧客企業のユーザー状況を把握することは容易ではないため、すぐに対応するという返答は得られませんでしたが、外部からの提案をオープンな姿勢で受け止めるのは、企業カルチャーとして好感が持てます。投資の観点からしても、社外との協働を進めることで価値創出の推進力を得られるという期待につながります。

なお、企業がオープンな姿勢でいることはリスク管理に役立つことがあります。NTTは以前、某ESG評価会社から、深刻な不祥事があると判定されたことがあります。カディラのチーフインベストメントオフィサーはこのデータが間違っている可能性があると感じたことからNTTに問い合わせを行い「もし事実と違う場合はESG評価会社に訂正依頼をした方がよい」と提案しました。NTTは即座に対応を行い、その結果として、事実誤認であったことが判明してデータ修正が行われました。投資家の意見に真摯に向き合ったことが不正確なデータを正すことにつながった事例であり、その企業姿勢は評価に値します。

インパクトKPIの設定提案

CCMでは、投資先企業のインパクト志向を後押しするため、インパクト目標の設定および進捗管理の導入を提案しています。当月は、日立製作所、本田技研工業、ヨネックス、ヒューマンホールディングスなどの企業に対して提案を行いました。

日立製作所は、社会インフラの開発および運営を行う企業であり、電力網、鉄道、エレベーターなどの設備の製造・運営を手がけています。同社は、モノづくりの能力に加えて高度なITシステム開発力を有しており、自社で開発した設備を効率的に運営できる点を強みとしています。電力網や鉄道などの社会インフラは、運営効率を高めることでエネルギー効率の向上が可能であり、GHG削減への貢献につながるソリューションであると考えられます。一方で、現時点では日立製作所は削減貢献量を明確に開示できていないため、CCMからは、より踏み込んだ情報開示を行うことを提案しました。

また、本田技研工業は二輪事業を通じて、ASEAN地域を中心とした新興国における人々の生活改善に貢献しています。ヨネックスは、バドミントンやテニスの育成プログラムを通じてスポーツ振興に寄与しています。さらに、ヒューマンホールディングスは教育事業において、将来のキャリア形成に悩む人々が「なりたい自分」を見つけ、その実現を支援するとともに、社会ニーズと結びつける取り組みを全国26拠点のカウンセラーを通じて行っています。しかしながら、これらの企業はいずれもインパクト計測を明確に実施しておらず、創出しているインパクトが十分に可視化されていない状況にあります。KPIを設定し、目標を明確にすることで、活動に一貫性や推進力が生まれると考えられることから、CCMではインパクト計測の実施について提案を行いました。

これら4社はいずれも、CCMの提案に対して一定の理解を示しており、今後はその進捗をモニタリングしていく方針です。CCMとしては、投資家の意見をオープンな姿勢で受け止める企業の姿勢をポジティブに評価しています。

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