
今月は株式会社インソース(6200)について、企業概要とカディラのエンゲージメント活動についてご紹介します。
インソースは、社会人向け研修で国内トップクラスのシェアを持ち、ITを駆使して企業の教育インフラを支える人材育成・研修のコンサルティング企業です。単に講師を派遣して研修を行うだけでなく、独自のITシステム(LMS)を通じて人事業務の効率化や人的資本の可視化を支援するなど、アナログな「教育」とデジタルな「IT」を掛け合わせた独自の立ち位置で、企業の成長をバックアップしています。
同社の歩みは、常に社会のニーズの変化を先取りする挑戦の歴史でもあります。現代表取締役執行役員社長の舟橋孝之氏が2002年に創業して以来、講師派遣型研修を主軸に成長を遂げ、2004年には1名から参加可能な「公開講座」事業を開始しました。これにより、企業の規模を問わず柔軟に学べる環境を世に送り出しました。
さらに2009年には、業界に先駆けてITサービス(Leaf)を立ち上げ、教育のデジタル化にいち早く着手。2016年の上場以降は、パンデミック下での迅速なオンライン研修への移行や、DX・AI人材育成の本格化など、常に時代の転換点において組織が最も必要とする解決策を提示し続けてきました。
同社の強みは、3,000種類を超える膨大な研修プログラムと、その圧倒的な開発スピードにあります。すべてのコンテンツは自社内で標準化されており、講師の個性に依存しすぎることなく、どの現場でも再現性の高い「やり方(HOW)」を学べる点が、多くの企業から高く評価されています。階層別研修から最新の生成AI活用、DX推進まで、時代の要請に応じた最新の知見が常にアップデートされています。
また、教育とITを融合させたプラットフォーム戦略も、同社の大きな特徴です。学習管理システム(LMS)の「Leaf」は、研修の申し込みから受講履歴の管理、eラーニング、さらには人的資本の情報開示に必要なデータ蓄積までを一括で担うインフラとして、現在400万人以上のユーザーに利用されています。このITの力が、人事部門の業務負荷を劇的に軽減し、戦略的な人材開発を可能にしています。
インソースは、単なる研修ベンダーの枠を超え、組織の現状をデータで可視化し、現場が動く「知恵」を提供し、それをITで定着させるという一連のサイクルをワンストップで回せるプラットフォーム型企業です。現在は民間企業のみならず、官公庁や自治体の組織変革においても、人的資本経営を支える不可欠な存在として確固たる地位を築いています。
インソースでは、舟橋社長が自ら投資家との対話に積極的に関与しています
この度カディラでは、インソースの舟橋社長をお招きし、「リスキリングについて考える」をテーマとしたウェビナーを企画・開催いたしました。当日は、サステナビリティを重視する投資家やアセットオーナーなど計11名が参加し、多様な立場からさまざまな切り口で活発な対話が行われました。
まず舟橋社長より、日本の研修ビジネスを切り開いてきたインソースの強みや同社が目指す方向性、ならびにリスキリングを取り巻く業界環境についてご説明をいただき、参加者の理解が深まりました。
対話の中では、研修ビジネスが労働集約的であり、中長期的な成長には一定の制約があるのではないかという懸念の声もあがりましたが、これに対し会社側からは、教育は本来、論理的かつ構造的に整理・設計が可能な分野であり、AIや業務システムを組み合わせることで、さらなる事業の拡張余地があるとの考えが示されました。
また舟橋社長は「研修を受講する企業側が、研修を単なる知識習得に留めてしまい、企業価値向上策に結び付けられていない」という状況が散見されることに事業機会を見出しており、課題定義や組織設計、人事制度、さらには行動変容といった企業の課題解決まで踏み込んだ「上流領域(コンサルティング)」を積極展開する意向を持たれています。今後、人的リソースの拡充を行うことで、大きな成長の可能性があるとの認識を示されました。
参加者からはインソースに対する期待として、社会人教育に対する啓蒙活動を通じたブランディングの強化や、公共分野や医療分野など、リスキリング需要が高いと思われる分野へ展開を推奨する意見も出されました。
最後に舟橋社長からは、AI活用に対する示唆として、日本人が文章力の高さ、丁寧な要件定義力、現場力などの特性を持っており、これらがAIと相性が良いことから発展のポテンシャルがあるという点についても言及がなされました。
対話を経て、参加者からは「ぜひ自社の人事部門にも話をしてほしい」といった具体的な要望も挙がっており、今後、ビジネス上の連携へと発展する可能性もうかがえる通常の投資家エンゲージメントとは少し違った観点でも有意義な機会となりました。
以上、インソースの会社概要とカディラによるエンゲージメントの内容をまとめました。
カディラでは同社を、教育格差の是正や労働生産性の向上といった、日本社会が直面する構造的な課題の解決に直接寄与する企業であると評価しています。特に、昨今の人的資本強化という大きな潮流が同社にとって強力な追い風となっており、その役割は一層重要なものとなっています。またリカーリング型やコンサルティングサービスの強化などビジネスモデルが強固になってきている点にも注目しています。
業績面においても、パンデミック渦の2020年9月期という例外を除き、長年にわたり20%近い高い成長を継続し続けています。高い経済合理性を追求しながら、同時に社会的な価値を創出し続ける同社に引き続き注視していく方針です。
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