2026/2/20

深化するサステナビリティ対話 ― アンケートが示すIRの質的変化

アンケート結果送付の概要

カディラキャピタルマネジメントでは、上場企業とのIRミーティング実施の際に、サステナビリティ関連の取り組みなどについてアンケート調査を実施しております。また、四半期ごとにアンケートを集計し、その結果を上場企業に送付しています。今四半期では310社(2025年9月末現在の時価総額合計620兆円)にメールを送付しました。

 

サステナビリティ対話に関する質問

今四半期は「サステナビリティ対話の現状」について質問をさせていただきました(アンケート回答数:30件)。「反ESG」というワードを耳にする機会が増えている中、日本のIRコミュニケーションにおける状況に変化があるのか否かを確認したいという意図の質問です。

結論から言えば、サステナビリティ対話に後退の様子は見られず、むしろ実質を重視するポジティブな流れが見られるという結果になりました。

 

対話の頻度

まず「過去1年で、投資家からサステナビリティ関連の質問を受ける頻度は変化しましたか」という問いに対しては「大きな変化はない」という回答が77%と大半を占めました。 また「増えた」が17%と「減った」の7%を上回り、全体としてはサステナビリティ対話がやや活発化したという状況にあるようです。

 

対話内容の変化

その上で、対話の内容について「過去1年で、投資家とのサステナビリティ関連対話の内容に変化はありましたか?」という問いをしました。「定型的な対話(チェックボックス型質問)」と「定型的ではない対話」のそれぞれについて、増えたか減ったかという選択肢を示したところ以下の結果となりました。

・定型的な対話(チェックボックス型質問など)が増えた:10.0%

・定型的な対話(チェックボックス型質問など)が減った:13.3%

・定型的ではない対話が増えた:46.7%

・定型的ではない対話が減った:6.7%

・サステナビリティ関連の対話をしていない:6.7%

・その他:26.7%

この結果からは、「定型的な対話」が若干減少し、「定型的ではない対話」が大きく増えている状況が見て取れます。

 

ESG情報の開示が充実したことを受けて、データの確認作業は書面でできるようになったことで、チェックボックス的なやり取りが減少したと推察されます。AI活用などもこの流れを促進しているかもしれません。データ確認作業が効率化されたことによって、企業ごとの特徴的な活動についての対話に多くの時間が割かれるようになったのではないでしょうか。

 

対話の積極性

企業側の対話に対する積極性について確認するために、「自社のサステナビリティ対応について投資家に対してフィードバック意見を求めていますか?」という問いをしたところ、43%が「適宜求めている」、37%が「求めたことがある」と回答しており、合わせると80%の企業が何らかの形で投資家からのフィードバックを受けたことがあるという結果となりました。投資家が情報収集するだけでなく、企業側が経営改善のヒントとして投資家の意見も求めるようになっている様子を垣間見ることができます。

 

アンケート回答企業にとって、参考になった投資家のフィードバック

また、「投資家からのフィードバックで参考になったものはありますか?」という記述式の質問に対しては以下のような内容の回答が見られました。

・統合報告書の改善点の指摘

・開示情報の粒度についての指摘

・先進企業事例の紹介

・不適切行為への指摘

・経営姿勢や事業方針についての理解・賛同

・コーポレートガバナンスについてのアドバイス

 

まとめ

以上、2025年10~12月にカディラが行った上場企業に対してのアンケート結果の報告です。「反ESG」が叫ばれる中でも、日本企業の多くがサステナビリティ対話を経営改善につなげようとしている様子が確認できました。

 

IRミーティングを「建設的な対話」の場にするためには、投資家が一方的に情報収集するだけではなく、企業に対してフィードバックを伝えることも必要です。また、企業側から、例えば上記の「参考になった投資家のフィードバック」をヒントに、投資家に逆質問をしてフィードバックを求めることは効果的な対話の糸口になることでしょう。

今後とも日本企業が経営改善を通じて価値向上を続けていくことを期待します。

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