
当月はパーク24について、企業概要とカディラの投資見解やエンゲージメント活動を紹介します。
※パーク24の社名ですが、ウェブサイト等で数字は全角となっていますので、それにならって文中も全角表記としています。
パーク24は「Times」ブランドで駐車場およびカーシェアリング事業を展開する国内最大手企業です。その原点は1971年、違法駐車という都市問題の解決にあります。創業者・西川清氏は、自動車保有台数の増加に伴い深刻化する交通混雑や路上駐車に着目し、駐車禁止の看板や駐車場機器の販売から事業を開始しました。
1991年にはコインパーキング事業へ参入し、「時間貸し」という新たな利用モデルを確立することで、都市空間の有効活用という社会的価値を創出してきました。さらに2009年にはカーシェアリング事業を開始し、現在全社売上の3割を占める第二の柱に育て上げました。同社は国内市場シェア8割を有している圧倒的トップのポジションであり、駐車場運営を起点に、都市モビリティの効率化を担うインフラ企業へと進化を遂げています。
カーシェアリングは、タイムズ駐車場を拠点として無人で利用できるサービスであり、15分単位で利用可能という利便性を備えています。固定費を抑えながら都市部に高密度で展開できる点も特徴ですが、その本質的な価値は利便性にとどまりません。カーシェアリング1台は複数台の自家用車需要を代替するとされ、同社の試算では1台で最大16台分の移動需要をカバーできるとされています。これは車両製造に伴う資源投入やエネルギー消費を構造的に削減するモデルであり、「モノを増やさずに価値を提供する」循環型ビジネスと位置付けることができます。都市部における車両低稼働や駐車スペースの非効率利用、維持費負担といった課題を同時に解消する点に構造的な意義があります。
同社はカーシェアリングによる代替効果を基に、年間約26万トン(*1)の温室効果ガス削減効果を算出しています。これは同社の事業活動に伴う排出量約51万トン(*1)に対し一定の規模を持ち、事業そのものが環境価値を内包していることを示しています。さらに保有車両の電動化も急速に進展しており、電動車比率は2020年の13.8%から2024年には58.2%(*1)へ上昇し、日本全体の普及率20.8%(*2)を大きく上回っています。電動車比率上昇の結果、2020年から2024年にかけて1km走行当たりのCO₂排出量は約17%削減されました。法人顧客向けには利用に伴う排出量を可視化するサービスも提供しており、顧客企業の環境対応に資する基盤も構築されています。
自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の進展は、カーシェアリングの成長余地を一段と押し広げる可能性があります。運転アシスト機能の高度化によって操作が簡便になれば、これまで「運転が不安」と感じていた層の利用が広がり、潜在需要の顕在化が期待されます。
また、安全運転支援の普及は事故率の低下につながり、修理費や保険料などのコスト抑制を通じて収益性の改善にも寄与すると考えられます。さらに、自動運転技術の進化により車両の稼働時間や回転率が高まれば、1台当たりの収益力向上や資産効率の改善も見込まれます。
同社は約4年で車両を入れ替えるモデルを採用しており、新技術を短期間で自社サービスに導入できる体制を整えています。自動車産業において技術革新があった場合に、ユーザー便益の向上と、それに伴う業績拡大の恩恵を受けやすいポジションにいると見ることができます。
コロナ禍では人流停止により業績が悪化し、自己資本比率は一時5.1%まで低下しましたが、コロナ禍の終息によって業績は急回復し、自己資本比率は27.7%へ回復しました。回復過程で費用構造の見直しなども進められたことから、2025年10月期は営業利益375億円と、コロナ前ピークの225億円を大きく上回る水準となっています。今後は、低迷している海外事業の抜本的な見直しや、カーシェアリング事業での価格改定など、利益率改善に向けて複数の打ち手がある点が注目点になります。
カディラはパーク24と継続的な対話を行い、社会的価値の言語化と投資家への発信強化を提案しています。カーシェアリングは資源効率化、排出削減、都市空間の最適化を同時に実現する事業であり、その価値について、市場の認知度を高める余地が大いに残されていると、我々は考えています。
2024年初頭、カディラが同社を訪問してサステナビリティについて議論を行った際に、会社側からは「グループ理念などに基づく価値創造ストーリー等のロジックが、より確固たるものになった」という好意的なコメントがなされました。その後、環境インパクトの定量化に積極的に取り組んでいることは、対話の方向性に沿う形であるため、ポジティブに評価できると考えています。
カディラでは、パーク24を、自動車産業の利用に伴い生じる社会課題に真正面から向き合う企業と位置付けています。同社が都市空間の有効活用、資源使用の効率化、新たな交通インフラ作りなどを通じて成長する可能性に、今後も注目していく方針です。
*1 統合報告書P.26~27
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4666/ir_material_for_fiscal_ym23/182782/00.pdf
*2 一般財団法人 自動車検査登録情報協会
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/hoyuudaisuusuii07.pdf
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