2025/5/15

KDDI株式会社との対話

カディラはKDDI株式会社(以下、「KDDI」)と継続的な対話を行っています。

弊社CIOの清水は、前職時代から同社との関係を築いてきました。私たちは、KDDIが、投資家の意見に対して常にオープンで、厳しい指摘にも真摯に向き合う姿勢を評価しています。近年、私たちは事業展開の停滞や社員の「チャレンジ精神」の低下に着目し、社風の活性化を提言してきました。2025年の新経営陣は、こうした対話の積み重ねに沿う形で人選がなされたと理解しており、私たちは選定結果を歓迎しています。保守的に傾いていた経営方針が再び動き出す兆しが見える中、カディラでは今後も期待を持ってKDDIとの対話を継続していきます。

企業概要

KDDIは日本電信電話、ソフトバンクと並ぶ、日本の大手通信会社の一角を担う企業です。KDDIは、主力ブランド「au」を通じて、移動通信と固定通信の両方を提供する国内有数の総合通信事業者です。​​また、通信事業を基盤に、金融、エネルギー、エンターテインメント、教育などのライフデザイン事業を展開し、持続的な成長を目指しています。​

KDDIは、2000年10月1日に、第二電電(DDI)、国際電信電話(KDD)、日本移動通信(IDO)の三社が統合して誕生しました。この統合によって、固定通信・国際通信・移動通信を一体化した、日本初の本格的な総合通信事業者となりました。創業の原点は、1984年に設立された第二電電(DDI)にさかのぼります。このDDIを立ち上げた中心人物は、電子部品メーカーである京セラの創業者でもある、稲盛和夫氏です。稲盛氏は、当時政府主導だった通信業界に民間の競争を持ち込み、自由化を進めるためにDDIを設立。

「通信自由化の旗手」として、日本の通信市場に大きな変革をもたらしました。その後、もともと国際通信専業会社であったKDD、トヨタ系の移動体通信会社だったIDOと合流し、三社統合による「KDDI」が生まれました。

2000年代以降は、携帯電話ブランド「au」を主力に成長し、近年は、金融、エネルギー、エンターテインメントなどにも事業領域を広げ、単なる通信会社から「ライフデザイン企業」への進化を目指しています。

通信会社の存在意義

通信サービスはすでに我々の生活において欠かすことのできないインフラ、サービスであることに加え、今後、さらに多方面で活用されることが予想されるため、高品質な通信環境を整備し続けることは社会的な意義の高い事業であると考えられます。昨今は様々なサービスがスマートフォンと紐づいていることから、通信が途切れることは日常生活に多大な影響を及ぼします。特に近未来において、自動運転など通信ネットワークにつながり自律的に活動する機械が増える中では、通信障害が重大事故に直結するリスクがあるため、通信品質の維持という役割の重要性はさらに高まることが予想されます。

KDDIは自社の使命は「つなぐ」ことにあるとし、通信品質の向上に取り組んでいます。残念ながら2022年7月に大規模な通信障害を引き起こしましたが、その後は対策として競合であるソフトバンクと連携して、副回線サービス(ソフトバンク回線を用いたバックアップ機能)を導入するなど、バックアップを強化しました。また、今年4月からはスペースX社との連携により、低軌道衛星ブロードバンド「Starlink」を活用し、専用アンテナなしで、スマートフォンを使った衛星経由での通信サービス提供を開始しました。

経営環境の変化

日本の通信料金は2018年頃から政府方針により低下基調をたどりました。KDDIにとっても通信料金値下げの影響で毎年1000億円近くの減収となる影響を受けていました。ICT総研の調査データ(1)を見ると、2020年頃までは先進諸外国と比較して、割安感のない水準だった通信料金は、2021年以降に低下して、現在では最安値レベルになっています。日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の6か国の通信料金(データ容量:2GB)を見ると、2020年3月時点では平均が3817円で、日本は4021円と5.3%高い水準でしたが、2024年12月には平均の2770円に対し、日本は1312円と52.6%も低い水準となっています。ICT総研の2024年1月時点での調査レポート (*2)によれば、通信速度は平均並みであるとまとめられており、日本の通信は、世界的に見て遜色のないレベルのインフラを低価格で提供しているという状況であると見て取ることができます。

足元では、日本政府がデフレ経済から脱却のために、価格競争ではなく付加価値競争を通じ、人件費を引き上げるという方向性を企業に求めるようになっており、結果として通信料金のみに価格引き下げ圧力をかけることが整合的を欠く状況となりつつあります。通信各社は、人件費や電力価格の上昇を受けて、低価格が続くことによって技術革新に対応できなくなるリスクについて言及しはじめています。また、これらの状況を踏まえると、今後通信料金についてはデータ単価の下落圧力が低下することが見込まれます。一方、ユーザーは通信容量の増加を求めているため、結果として一人当たりの通信料金が底打ちをして、上昇傾向に入る可能性が高まってきていると考えられます。

カディラの対話

カディラではKDDIと継続的に対話を行っています。CIOの清水は前職時代からKDDIと数多くの対話を重ねてきました。KDDIは投資家の意見に対して常にオープンであり、厳しい意見についても真摯に検討をすることから、その対話姿勢は高く評価できます。過去には再生可能エネルギーの発電を行うこと、Eコマース事業での独自性を強化すること、従業員のチャレンジ精神を高めること、などについて投資家としての指摘を行ってきました。例えば、電力について同社は自社施設での電力使用に加え、消費者向けに電力小売り事業も営んでいるという立場にもかかわらず、発電について事業範囲と考えていなかったことから、調達リスク緩和の意味でも、新規事業の可能性という意味でも、発電事業に関心を持つべきとの意見を伝えていました。現在、同社は子会社を設立して再生可能エネルギー発電事業を行っています。

また、社風の観点から見ると、2020年頃より同社の事業展開では新しい取り組みが減り、通信業界全体が同質化し始めているという点について指摘をし、社内の従業員向け調査において「チャレンジ精神」という項目が低下し始めていること確認しました。長らくこの点については課題認識を伝え、対応策の説明をしてもらっていました。

2025年4月に就任した松田社長は、新経営体制のキーワードとして「夢中」という言葉を挙げ、すべての社員が「夢中に挑戦できる会社」にしたいというメッセージを発信しました。新しい経営陣の選定においては、社風の変化もあったと思われ、投資家からの意見もそこに影響を及ぼしたのだろうと、理解しています。松田社長は就任早々に、前述したスペースXとの連携による衛星経由の通信サービスを発表するなど、他社と差別化された施策を展開し始めています。保守的に傾いていた経営方針が、再活性化する可能性があると感じられるため、カディラでは引き続き期待感を持ちつつ同社との対話を続けていきます。

*1 2025年4月 スマートフォン料金の海外比較に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】

*2 2024年1月スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】

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