
当月はマクニカについて、企業概要とカディラのエンゲージメント活動について紹介します。
企業概要
マクニカホールディングスは、神山治貴氏によって1972年にジャパンマクニクスとして創業されました。神山氏は電子部品商社での勤務を通じて半導体の将来性、とくに米国における技術進化のスピードを強く実感していました。また、単に商品を流すだけでなく、技術的なサポートを提供することが顧客の要望に合致することを感じ、海外製半導体を国内企業に販売する技術商社としてジャパンマクニクスを育て上げました。
1992年に社名をマクニカに変更し、2015年には国内半導体に強みを持つ富士エレクトロニクスと統合してマクニカ・富士エレホールディングスを設立。2022年の再度の社名変更を経て、現在のマクニカホールディングスとなりました。創業者の神山氏は2008年に会長、2019年に名誉会長となり経営の一線を退き、現在は2019年に就任した原一将氏が社長を務めています。
事業面では半導体事業を着実に拡大し、現在は国内半導体流通の約20%のシェアを持つ最大手企業となっています。国内で販売されている主要半導体メーカー21社のうち17社を取り扱っており、品揃えは圧倒的です。
また1982年には取引先の紹介をきっかけにネットワーク機器の取り扱いを開始しました。2000年代に入りインターネットの普及とサイバーセキュリティ重要性の高まりを受け、同社はサイバーセキュリティ分野へ本格的に参入。現在では半導体と並ぶ第二の事業の柱に成長しています。
さらに2021年からは、サイバー空間と物理空間を統合したCPS(Cyber-Physical System)ソリューション事業を立ち上げました。同社が培ってきた半導体とネットワークの知見を生かし、より具体的な課題解決に踏み込む事業領域です。その代表例が小型自動運転EVバスの事業で、2024年度には実証運行50件、定常運行6件の実績を持ちます。
サイバーセキュリティ事業
マクニカホールディングスの売上(1兆341億円)は、半導体事業が85%、サイバーセキュリティ事業が15%と、半導体が主力を占めています(2025年3月期実績)。一方、営業利益(396億円)を見ると、サイバーセキュリティ事業は利益率が相対的に高く、全体の33%を占めています。
同社のサイバーセキュリティ事業は、主に海外のソリューションを国内企業へ提供するモデルです。その特徴は、将来性があると判断したソリューションを自ら積極的に発掘し、企業規模に関わらず販売を進める点にあります。たとえば、現在の主要パートナーであるクラウドストライク社とは、同社が創業間もない2013年に契約を締結しました。創業者との関係性があったことから、実績が十分でない段階での契約に踏み切っています。
また、半導体事業が景気変動やサプライチェーン混乱など外部要因の影響を受けやすい一方で、サイバーセキュリティ市場は安定的に需要が増加しています。持株会社発足時(2016年3月期)と比較すると、全社売上は2.5倍に拡大しており、サイバーセキュリティ事業(当時はネットワーク事業)はそれを大きく上回る5.7倍に成長しました。
日本の情報セキュリティ製品市場では、ベンダー別でみると外資系大手10社が市場の約50%を占めています(*1)。サイバー攻撃が国境を越えた活動になっていることから、求められるソリューションもグローバルレベルの品質が必要です。このような環境において、海外の先進的なソリューションを国内に導入するマクニカホールディングスのポジションは、サイバー攻撃が社会問題として拡大する中で、さらに重要性を増すと考えられます。
マクニカホールディングスの投資家エンゲージメント
マクニカホールディングスは投資家との対話に積極的な姿勢を示しています。2019年に経営陣が若返ったことを契機に株価への意識が高まり、IR担当者を増員するなど対話体制が強化されました。また、2023年から統合報告書を発行し、発行後には内容を説明するウェビナーも開催しています。
2023年と2024年のウェビナーでは原社長が説明を担当しましたが、2025年は外部登壇者を招く形式となり、その一人としてカディラCIOの清水が登壇しました。ウェビナーで清水は、マクニカへの評価と期待について以下の趣旨のコメントを述べています。
「マクニカの卓越性は、最先端の技術を普及させることにある。昨今、半導体や通信ネットワークは社会インフラとして重要性が高まっており、安心・安全に対する要求も高度化している。よって今後は、先進性だけでなく安心・安全の両面で最高レベルを満たすことが求められる。また業界リーダーとして、技術知識に加えて産業知識を蓄え、他のステークホルダーを巻き込むコーディネーターとしての役割を果たし、より高いステージで活躍してほしい。」
清水が登壇することになったきっかけは、カディラの年次総会にマクニカホールディングスのIR担当者が参加した際、カディラの「対話を重視する姿勢」が高く評価され、そこから登壇依頼につながったためです。
まとめ
以上、マクニカホールディングスの会社概要とカディラによるエンゲージメントの内容をまとめました。カディラでは同社を、社会インフラの安定維持に不可欠な半導体とサイバーセキュリティの分野で最先端ソリューションを提供し、社会の安定性に貢献する企業と評価しています。
特にサイバーセキュリティ分野は重要性が急速に高まっており、それに応じて需要拡大も期待されます。今後も経済性と社会性の両面から注視していく方針です。
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