2023/10/23

金融庁の「インパクト投資に関する基本的指針(案)」に対する当社の意見

2023年6月30日に金融庁は「インパクト投資に関する基本的な指針(案)」を提示し、パブリックコメントを募集しました[1]。カディラキャピタルマネジメントはこの指針が日本におけるインパクト投資の推進を大きく後押しする力になると考え、当社としての見解を金融庁に提出しました。

カディラキャピタルマネジメントは「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションに則り、インベストメントチェーンに関わる様々なステークホルダーとの対話を重視しています。また、対話内容を可能な限り他のステークホルダーに共有することがミッションの体現のために重要であると考えていることから、金融庁への提出内容をこちらに開示いたします。

意見1 

意見の概要

コンプライ・オア・エクスプレインに準じた考え方の採用を検討いただきたい。 

意見及び理由 

本指針は4項目の「要件」から構成されているため、全てに該当しない投資戦略はインパクト投資とは呼べないという解釈になりかねない点を懸念している。指針の趣旨としては運用会社の独自性のある取り組みを容認するように読めるが、要件という言葉の響きがプレッシャーとなって、運用者側がインパクトウォッシュ批判を避けるために形式主義に偏ってしまえば、結果としてインパクト投資の普及を阻害する要因にもなりかねない。 

日本版スチュワードシップ・コードのように「要件」を「原則」のような表現に代えた上で「コンプライ・オア・エクスプレイン」の手法を採用することによって、多様な手法を受け入れることができるのではないかと考える。この場合、独自の取り組みを行う運用会社がエクスプレインとして示すであろう内容は、新しい手法としてインパクト投資の高度化のアイデアになり得るため、資産運用会社のイノベーション創出など、業界の高度化にもつながることが期待される。 

 意見2

意見の概要

要件1の詳細項目の中に「『意図』と異なる副次的効果等も考慮し投資が実行されていること」とある点については、要件3の方に記載した方がいいのではないか。 

意見及び理由 

要件1の詳細項目の中に「『意図』と異なる副次的効果等も考慮し投資が実行されていること」とある点について、意図と異なる効果(特にネガティブインパクト)きちんと計測・管理されることが重要と考えるが、その内容は要件1の「意図」ではなく、要件3の「特定・測定・管理」との関連が深いと思われるため、記載場所を修正して要件3の方に記載した方が理解を得やすいのではないか。

意見3

意見の概要

要件4についての表記を「支援」にフォーカスした内容に修正した方が理解しやすいのではないか。

意見及び理由 

要件4は投資家が投資先企業を「支援する」という内容と思われる。「新規性」という言葉が目に留まるが、上述されている<考え方>を読むと必ずしも新規性のみを求めている訳ではないと理解できる。したがって、あえて「新規性等」という文言の記載は行わずに「市場や顧客に変化をもたらし又は加速し得るように支援すること」と記してもよいのではないかと思われる。 

それに伴って、英文表記も(innovation/transformation/acceleration)ではなく(acceleration/engagement)という記述の方が誤解を生みにくく、理解しやすいように思われる。元の文章の場合、前の二つ「innovation」「transformation」は投資先企業が主体となり、3つ目の「acceleration」は投資家が主体となると読み取れるが、そうであれば概念が混在しているため混乱を生じる恐れがある。「acceleration」と「engagement」であれば、共に投資家が主体となるため、概念の混在がなく理解しやすい。 

なお、もし「新規性」を求めるのであれば投資先企業ではなく、投資家の側が企業評価やエンゲージメントにおいて新規性のある取り組みを行っていることを求める方が指針全体の趣旨と平仄があっているのではないかと考える。 

以上 


[1] https://www.fsa.go.jp/news/r4/singi/20230630_3.html

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