
カディラキャピタルマネジメントは「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」というミッションを掲げて活動しています。ミッション遂行のためには社内外のステークホルダーとの協力関係が欠かせません。私たちは投資対象企業との対話など、活動内容を具体的に開示することで、ステークホルダーとの信頼関係を深めていくことを目指しています。
今月は以下の活動について報告します。
今回は協働対話についての事例を紹介します。
カディラキャピタルマネジメントでは、上場企業の中でサステナビリティについて先進的な取り組みを行っている企業が、多くの金融関係者やサステナビリティ専門家とコミュニケーションをとる機会を提供すべく、協働対話のミーティングを数ヶ月おきに企画しています。
直近では6月に丸井グループと約40名のインパクトファイナンス業務に携わる人を招いたミーティングを開催しました。
まず、丸井グループの概要を見てみましょう。丸井グループは1931年の創業時から、一貫して小売業と金融業を両輪としたビジネスモデルを運営してきました。「家具の割賦販売」という小売と金融を融合したビジネスで創業し、その後時代とともに扱う商材や提供形態を変化させ、都市型商業施設の「マルイ」とクレジットカードの「エポスカード」を主力とする現在に至るまで一貫して小売と金融を両輪としたビジネスモデルを営んできています。
丸井グループの特徴は、サステナビリティへの配慮を経営の中心軸に据えている点です。近年はサステナビリティを起点としてビジネスモデルの進化を進めています。例えば、マルイ店舗においては「売らない店」というコンセプトで商品やサービスを「体験」するスペースを増やしていますが、この背景には大量消費型の経済モデルと一線を引くという企業姿勢が見て取れます。かつてはマルイもテナント企業への賃料を店頭での売上歩合としていましたが、過去数年かけて固定賃料への転換を進めてきました。その結果、モノを売らない業態を誘致することが可能となり、例えばオンライン専業ブランドのショールームなど、従来の百貨店とは異なる店舗の使われ方が広がっています。また金融業においても、家賃や電気代のような必需性が高く継続的な支払いが発生する案件のクレジットカード払いの取り扱いを増やすことで顧客との関係性強化を進めています。特に電力に関しては、再生可能エネルギー100%の電力を提供する「みんな電力」と戦略的なパートナーとなることで、サステナビリティ意識の高い生活者との関係を強化するという施策も組み込まれています。
さて、丸井グループを囲んでの協働対話ミーティングにおいては、丸井グループからサステナビリティの追求のために、同社が体制強化を進めている「インパクトの計測と管理」について説明がなされました。丸井グループは①将来世代の未来を共に創る、②一人ひとりの「しあわせ」を共に創る、③共創のエコシステムをつくる、という三つのインパクトテーマを設定しています。三つのテーマの実現性を高めるために、KPIと財務指標を細かく設定し、インパクト実現までの道筋を図示したロジックモデルを作成するなど考え方の整理にかなりの労力を割いていることが伺えます。また、それらの資料をベースに社内外のステークホルダーと対話を重ねることで、活動の推進力を強化しているということも紹介されました。
参加者からは「インパクトと財務の関係性」「丸井グループの強みの活かし方」「社内の体制構築」「顧客の声の反映方法」など様々な角度からの質問が挙がりました。一方、丸井グループから出された「ロジックモデルへの投資家の期待値」に関しての質問に対して、インパクト投資の専門家が回答するというような双方向のコミュニケーションも活発に交わされました。
このように協働対話ミーティングは、上場企業に対して新たな気づきとネットワーキングの場を提供することを目指して開催されています。また、参加したインパクト投資家が先進的な企業の取り組みを知ることで、業界全体の知見を高めることも意図しています。
なお、カディラキャピタルマネジメントでは日々行っている個別ミーティングを通じて企業との関係を構築し、協働対話ミーティングに参加する候補企業を増やすという活動を行っています。個別対話を起点に協働対話を生み出し、関係性の輪を大きくして最終的に社会システムを良い方向に変化させるという流れを目指しています。
日本では6月は株主総会が多く開催されます。カディラキャピタルマネジメントでは運用担当者が投資している企業の株主総会議案を全て確認し、個別に賛否の判断を行っています。
今6月で特筆すべき議案としては、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)に対しての株主提案が挙げられます。複数の環境NGOによって以下2件の定款変更提案がなされました。
① 気候変動関連の事業リスク及び事業機会の効果的な管理のための取締役のコンピテンシー
② 顧客の気候変動移行計画に関する評価
カディラでは提案の意図を正しく理解するために、本提案に関わっている環境NGOの3団体(マーケット・フォース、気候ネットワーク、レインフォレスト・アクション・ネットワーク)とミーティングを行いました。
ミーティングを経てみずほFGの環境対応に改善の余地があることを再認識しましたが、議決権行使においては株主提案に「反対」の判断を行いました。その理由は、①については取締役の選任においては気候変動など特定テーマに絞った人選をすることが必ずしも株主の利益につながるとは限らないため、定款に含めることの妥当性を判断できませんでした。また、「気候変動を基準にした場合に具体的に取締役候補者がいますか?」という問いに対して、本議案の提案者たちからは「明確に思い浮かばない」という趣旨の回答がなされたことから、本定款の実効性に確信を持てなかったということも「反対」の判断に至った理由の一つです。
また②の議案は、みずほFGが化石燃料セクターの投融資先の脱炭素移行についての管理体制を強化することを目的とした提案ですが、こちらについては、みずほFGから具体的な施策が示されていることから、あえて定款を変更しなくてもよいのではないか、という考えのもと「反対」の判断に至りました。
なお、株主提案に反対の判断をしましたが、みずほFGの気候変動対応については更なる強化が必要と感じているため、引き続き投資家として対応の強化ならびにその開示を促していく所存です。
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