2025/11/28

企業のAI活用実態調査:社内教育とポリシー制定の現状

カディラキャピタルマネジメントでは、上場企業とのIRミーティング実施の際に、サステナビリティ関連の取り組みなどについてアンケート調査を実施しております。また、四半期ごとにアンケートを集計し、その結果を上場企業に送付しています。今四半期では302社(2025年9月末現在の時価総額合計508兆円)にメールを送付しました。

今四半期はAIに関して社内教育と社内ポリシーについてアンケートを行いました。我々のメールに対して「AI方針を作成する際の参考にしたい」という声をはじめとして、以前よりも多くのお返事を多くいただきました。AIについての関心の高さをあらためて認識するとともに、当社が行っている「IRミーティング⇒アンケート調査⇒結果共有」という活動が、企業との関係構築に有効に作用している手ごたえを感じています。

企業への送付メール内容

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<集計概要>

AIに関する社内教育制度の設定状況に対する質問に対しては、回答企業の7割弱が、「全従業員」もしくは「従業員の半数以上」に研修を実施していると回答しました。

先進的な事例としては、社内の資格制度を整備している企業や、自社専用生成AIを導入しているケースなども見られました。またAIの活用マニュアルの配布や、活用事例の共有などの施策を行っているという回答もありました。

AI利用に関する社内ポリシーについての質問では、回答企業の約7割がポリシーを制定していると回答しました。また、ポリシーを制定している企業のうち9割弱がプライバシーについて、8割弱がサイバーセキュリティについての項目を含めていると回答しています。

一方、AIに関するガバナンス体制や、AI倫理(バイアスの排除等)について含めている企業は6割弱とやや低めな結果となっており、AI特有の課題管理体制についてはやや整備が遅れている企業もあるようです。

<集計データ>

〇AIに関する社内教育制度として御社の状況に最も近い選択肢を選んでください

・全ての従業員に研修を実施:29.4%

・大半の従業員(半分以上)に研修を実施:38.2%

・一部の従業員(半分以下)に研修を実施:20.6%

・不明等:11.8%

〇AI利用に関する社内ポリシーを制定していますか

・有:70.6%

・無:20.6%

・不明:8.8%

〇AIポリシーを設定している場合、そこに含まれている内容を以下から選んでください(複数回答可)

・プライバシーの保護:87.5%

・サイバーセキュリティ:79.2%

・AIに関するガバナンス体制:58.3%

・AI倫理(公平性、バイアスの排除等):58.3%

・環境負荷への配慮(AI利用に伴う電力使用等):4.2%

【参考】AIがファンドマネージャー業務に与える影響についての考察

AIの進化は、私たちファンドマネージャーの調査・投資活動にも大きな変化をもたらしています。

従来、専門的な知識や経験を必要としていた企業情報の収集・分析は、AIの活用によって格段に効率化され、基本的な情報把握のハードルは大きく下がりました。これは業務効率の面で大きな前進ですが、一方で公開情報に基づく分析だけでは投資家間の差別化が難しくなるという新たな課題も浮上しています。

そのため今後は、公開情報の背後にある「変化の兆し」を読み取る力がより重要になります。たとえば、社内風土の活性化やステークホルダーとの対話姿勢の変化など、定性的な要素は企業が本質的な変革段階にあるかを見極めるうえで欠かせません。

こうしたなかで鍵となるのは、企業との直接対話や現場観察などによる一次情報の獲得に加え、投資家自身が積極的に知見を発信し、企業や他のステークホルダーから自然に情報が集まる、循環的な情報エコシステムを築くことです。

カディラでは、サステナビリティ対応と企業価値の関係性や、長期投資家に向けた企業の情報開示のあり方について、ウェブサイトやセミナーで情報発信をしていますが、それに関心をもった企業から対話のお申し込みをいただく機会が増えています。引き続き、企業から声をかけてもらえるよう、情報発信に力を入れていきます。

発行体企業においても、IR活動の目的を明確にし、投資家のターゲットを明確化して能動的にアプローチすることが、より重要度を増してくるのではないでしょうか。

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以上、当社から上場企業に送付したメールの内容を紹介させていただきました。

本メールをきっかけに、ミーティングの依頼やインパクトに関しての質問をいただくなど、次のエンゲージメントサイクルにつながるケースも発生しています。効果的なエンゲージメントワークフローが生まれてきていることに我々は手応えを感じており、この活動をさらに推し進めていきたいと考えております。

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