
10月1日に石破茂氏が日本の内閣総理大臣に就任しました。それに先立つ9月27日、自由民主党の総裁選挙で石破氏が選出されたことを受けて日本株は下落し、為替は円高へと動きました。石破氏が金融引き締めや増税に前向きな発言をしていることを受け、市場が反応した結果と見られます。
確かに、今回の総裁選の対抗候補だった高市早苗氏が強硬な金融緩和推進派であったことから、その比較では石破首相は金融引き締め的な姿勢です。とはいえ、石破首相は前任の岸田元首相の路線を引き継ぎ、デフレ脱却を目指す方針を示していることから、財政や金融について政策が大きく変化することはないでしょう。また、石破首相は以前に金融所得課税の引き上げについて言及していましたが、「貯蓄から投資への加速をさらに進めたい」という趣旨の発言もしていることから、すぐに増税して個人の投資マインドを冷え込ませるようなことにはならないと考えられます。
石破首相が打ち出している政策として特徴的な点をいくつか記すと、政党ガバナンスの強化、防災体制の強化、防衛体制の強化、都市から地方への移住促進、海底資源の活用、最低賃金の引き上げ、などが挙げられます。このうち政党ガバナンスについては、政党の意思決定メカニズムを法制化することで不明瞭さを改善するという案を掲げています。不透明な政治資金に対して国民の不信感が高まっていることから、この点については注目度が高い状況が続くでしょう。民間企業がコーポレートガバナンス改革という国策により、過去10年にわたってガバナンス体制を進めてきたことから、政治に対しても同様の変革を望む人は多いでしょう。
IMDが集計して公表している「世界競争力年鑑」によると日本は世界で2024年は38位となっており、1990年代にトップだったところから一貫して下落を続けています。競争力が低い要因はビジネス効率性と政府効率性の低さです。ビジネス効率性は2020年を底に下げ止まりの兆しが見られるものの、政府効率性は、じりじりと低下しており下げ止まりの兆しが見えていません。政治を担う主要組織である政党の運営が効率的になり、より良い意思決定が行われるようになれば、この状況を改善できるかもしれません。自由民主党の支持率低下が圧力となり、先の総裁選の討論で政党のあり方について議題が交わされました。組織が自浄作用で改善することは容易ではないと思われますが、10月末の衆議院選挙、来年7月の参議院選挙を通じて、政治の仕組みについて議論が進められ、より本質的な変化につながることが期待されます。
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