2025/7/25

制度改革が拓く成長の源泉:日本におけるジェンダー平等の進展と投資機会

世界経済フォーラムが6月11日に発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2025」(*1)において、日本は世界148ヶ国中118位となりました。

IMFの試算(*2)によると、ジェンダー格差が大きい国(サンプルの下位半分の国々)では、男女格差を解消することでGDPが平均35%増加する可能性があるとされています。労働参加者の増加に加え、多様性が生産性向上効果をもたらすためです。

日本では相対的に劣位にある男女格差を是正すべく、2016年に女性活躍推進法が施行するなど、男女格差是正の取り組みが本格化しています。昨今、一部の国で、多様性推進を見直す動きも出ていますが、日本においては、格差是正の流れが継続しています。

上述の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2025」において、日本のジェンダー・ギャップ指数は66.6%で、他国との比較では低位ですが、前年との比較ではスコアが0.3ポイント改善しました。「経済参加と機会」の分野においては、スコアは56.8%から61.3%へと大きく上昇。女性管理職比率の上昇(14.6%→16.1%)や、賃金平等度の上昇(58.3%→59.2%)などがプラスに作用しました。

一方で、「政治的エンパワーメント」のスコアは8.5%と極めて低い水準で、日本全体の順位を引き下げる要因となっています。2024年に11.8%と日本にとっての過去最高スコアとなりましたが、同年10月に女性閣僚の割合が25%から10%に減少したことで、再び過去の低水準に戻ってしまいました。国会議員の女性比率を政党別にみると、与党の自由民主党が主要政党の中で最も低い状況です(*3)。日本の男女格差指数の改善には、女性比率の高い野党が議席数を伸ばすか、もしくは自民党が体質改善するかのどちらかの必要があると考えられます。

日本の男女格差の状況が他国に見劣りしている理由の一つが法制度ですが、その変遷を見ると今後の改善の可能性が高いことが見えてきます。

日本では1985年に男女雇用機会均等法制定され(1986年施行)、性別による差別の是正が「努力目標」として掲げられました。次いで1997年に同法が改正され(1999年施行)、性別による差別が「努力目標」ではなく「禁止」となります。また社会保障制度も共働きモデルに転換することとなりました。ここから25年が経過し、当時22歳で大学を卒業した人は現在50歳になっています。

また、2015年に女性活躍推進法が制定されました(2016年施行)。ここで、企業に女性が組織内で活躍することを推進するための行動計画を策定・公表することが義務化されました。従来、出産を機に退職をする女性が多かったのですが、これ以降は出産後に復職をすることが一般化しました。日本における出産の平均年齢は約31歳ですので、現在の40歳より若い世代においては、出産前後で変わらないキャリア形成を進めてきた人が多くなっていると考えられます。

従来日本ではそもそも経営や管理職を担う年齢層において、女性が正社員として働いている割合が低水準でしたが、過去25年間における法制度の変化を受けて、女性の労働参加率の上昇が見られており、今後は上級職に就く女性が更に増加していくことが予想されます。

 

以上のように、日本の男女格差は依然として課題が残るものの、長年の法制度や企業の行動計画の積み重ねにより、女性の社会的活躍を後押しする環境整備は着実に進展しています。このことは、男女格差の是正による生産性向上効果の発現や、男女平等を重視する投資家の日本株への関心の高まりという、日本の株式市場の後押し要因として期待されます。

 

*1 https://reports.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2025.pdf

*2https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2018/11/28/blog-economic-gains-from-gender-inclusion-even-greater-than-you-thought

*3 https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/pdf/hiritsu.pdf

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