2024/9/17

株式市場の乱高下とその後の見通し

日本の株式市場は8月前半に急落しました。TOPIXは8月2日に6.1%、週明けの5日に12.2%と歴史的な下落率を記録し、瞬間的に月初来の騰落率が20%を超えました。今回の株価急落のきっかけは為替市場が一転して急激な円高となったことにあります。アメリカの長期金利が低下傾向となり日米金利差が縮小傾向にあったところに、日本銀行が利上げを行ったことが後押しとなって160円台だったドル円相場は140円台前半へと急落しました。

幸い、株式市場はその後すぐに落ち着きを取り戻し、底値から月末にかけては23%の上昇となりましたが、ドル円相場は3%の回復に留まっています。8月23日にはパウエルFRB議長が金融政策の調整について明言するなど、アメリカの金利低下傾向はより鮮明になっており、相場の状況の変化を注意深く見る必要がありそうです。

アメリカが金融緩和をすると、世界の資産価値の見方に変化が生じます。2021年からのアメリカの金融上昇局面で、日本においては割安株が高いパフォーマンスを遂げましたが、この状況が変化し、優良企業や成長企業が見直される可能性があります。

また、2021年以降の円安によって、グローバル展開をしている大企業が業績面での恩恵を強く受けましたが、アメリカの金利低下が円高につながるならば、この流れも反転する可能性があります。昨年の平均の為替レートや今期の企業想定レートは1ドル145円前後とみられており、この水準より円高になると、輸出型の事業にとっては前年業績もしくは期初の業績予想に対して減益の要因となることから、短期的な業績の方向性は弱含むことが懸念されます。ただし、購買力平価の為替は108円(*1)であり、1ドル140円台の水準であれば価格競争力に深刻なダメージを与える心配はなさそうです。

円高シナリオがプラスとなるのは、輸入原料価格低下の恩恵を受ける内需型の企業です。足元、日本では人手不足をきっかけに消費者のデフレ意識が転換し、合理的な値上げに理解を示すようになってきたことから、製品力の高い企業は利ザヤを拡大しやすくなるでしょう。

私たちはマクロ環境のみを理由とした投資判断を行いませんが、市場環境の変化は個別企業の業績や価値評価に与えるため常に注視しています。当面は相場急落後の市場環境の変化をしっかりと見極めて、投資活動を行っていきます。

*1 IIMA-GMVI・購買力平価 | 公益財団法人 国際通貨研究所

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