
近年、地政学リスクの高まりを背景に、各国で防衛産業の重要性が増しています。NATOは防衛費についてGDP比2%を基準としてきましたが2035年に向けて5%水準へ引き上げる目標に合意しました。日本も長らくGDP1%以内を目安としていましたが、2027年にかけて2%水準を目指す方針を掲げています。
サステナビリティを重視する機関投資家は一般的に兵器への投資を除外する傾向にあります。しかし、世界的に紛争が増加し始めたことを受けて、兵器産業への投資を容認する動きが見られます。非人道的兵器は引き続き除外対象としつつも、通常兵器であれば「防衛は社会の安全を守るための基盤である」との考えから投資を認めるという考え方が広がりつつあります。
カディラでは非人道的兵器はもちろんのこと、通常兵器を主要事業とする企業(売上の5%以上)も投資対象としない方針を掲げています。当ファンドは環境保全や生活改善などの領域に投資することを基本方針として組成しています。よって、社会秩序を維持するための防犯センサーやサイバーセキュリティなどの産業については投資対象としていますが、破壊や殺傷を目的に含む兵器を投資対象とすることはファンドの投資趣旨と合致しないと考えています。昨今の環境変化を踏まえても、兵器への投資基準を緩和することは検討しておらず、健全な経済活動を通じた相互理解や格差解消など、武力以外の課題解決策を提供する企業への投資を通じて、長期的に安全保障へ貢献する方針です。
なお、民生用として製造された部材が、結果的に兵器製造に使われることもあります。また、外部評価次第では、殺傷や破壊を目的としていない防衛品が非人道的兵器と見なされる可能性があるため、注意が必要です。たとえば、空調機器メーカーのダイキン工業(当ファンドでは非保有)は煙幕用の白リン発煙弾を製造していましたが、非人道的兵器である焼夷弾に転用される可能性への懸念から投資家の「除外リスト」に指定されました。売上規模は数億円程度と、売上4.7兆円規模の同社全体に比べればごく小さいものでしたが、多くの投資家の評価に影響を及ぼしました。(その後、ダイキン工業は2025年度末までに白リン発煙弾の製造から撤退する方針を決定)。
今後、世界的な防衛費増加により兵器需要が拡大すれば、そのような関与の可能性は一段と高まり、完全にゼロにすることが難しくなります。そのため、当ファンドでは、実務的な対応としては兵器に関連する可能性のある企業に対しては、その中身を精査し、その比率を積極的に高める意向がないことを確認しています。また、ESG情報提供会社のデータで、兵器関連売上の売上比率を確認することで、見落としの防止に努めています。
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