
2025年10月、高市早苗氏が内閣総理大臣に選出され、日本で初の女性首相が誕生しました。ジェンダー平等推進という観点から歴史的な出来事であり、国際社会における日本の象徴的な転換点といえます。
世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2025」(1)において、日本は148か国中118位と依然として低位に位置しています。「政治的エンパワーメント」は8.5%と極めて低く、女性リーダーが不在であることが評価を押し下げていたため、高市首相の誕生はこの点の改善に寄与します。IMFの試算(2)によれば、ジェンダー格差の大きい国々が男女を解消することでGDPが平均35%増加する可能性があるとされ、ジェンダー平等は中長期的に経済成長を左右する要素としても注目されています。
高市首相は所信表明演説で「日本を再び強く豊かにし、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と述べ、成長と安全保障を両立させる包括的な国家戦略を打ち出しました。また、経済財政政策では「経済あっての財政」を基本理念に掲げ、積極的な財政出動によって所得・消費・企業収益の好循環を目指しています。また、ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止など、生活者支援策を迅速に打ち出しています。これにより、インフレ抑制と購買力回復の両立を図る方針です。高市首相は日本がデフレ環境下における縮小均衡型の財政健全化策から脱し、インフレ転換を背景とした成長主導型の財政健全策を目指しています。これにより国民の意識が成長志向に変化すれば、力強い経済成長につながることが期待されます。
戦略分野としてAI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティなどが示され、官民連携を通じた新産業基盤の構築を目指すとしています。また、高市首相はかねてより、日本のエネルギー自給率と食料自給率が低いことを問題視しています。それらに関し、所信表明演説ではペロブスカイト太陽電池、核融合、植物工場、陸上養殖などの具体的なソリューションについて言及し、自給率向上を目指す方針が示されました。
高市首相の就任直前に、自民党と新たに連立パートナーとなった日本維新の会は「副首都構想」を提唱しています。副首都構想とは災害時などに備えて首都機能をバックアップできる地域を整備する構想で、その検討が進めば、有力候補地である大阪に注目が集まるでしょう。大阪は古くから日本の商業の中心地として経済的、文化的な蓄積があります。交通インフラ、建設、不動産、観光、商業関連などの企業が集積しており、今後の副都心構想の進展は、これら分野に新たな投資機会をもたらす可能性があります。また、東京一極集中の是正による天災リスク分散が進めば、日本全体への投資リスク低減にもつながると考えられます。
日本維新の会も8月に執行部メンバーが交代しており、新しく藤田文武氏が共同代表に就任しました。昨年12月に就任した代表の吉村氏(50歳)、共同代表の藤田氏(44歳)は、いずれも日本の政界においては若い世代に属し、若返りによって党としての意思決定のスピードが増しているとみられます。加えて、日本維新の会は高市首相の政策との親和性が高く、連立与党として政策実行が迅速に進むことが期待されます。
首相交代をきっかけとして、日本では様々な変化が生じ、新しい産業発展の兆しが生まれています。そのような中、我々は、上述した分野を中心に、それらに関連する新興産業も視野に入れながら、社会課題解決型の投資機会を探ってまいります。
*1: https://reports.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2025.pdf
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