2024/3/22

日本株式市場への関心の高まりについて

2024年2月22日に日経平均株価が34年ぶりに市場最高値を更新しました。日本の株式市場に対する期待が回復してきていることの現れであると同時に、最高値のニュースを聞いて改めて注目する投資家が増えることが期待されます。

この株価上昇はデフレ脱却、中国からの資金シフトなど、複数の要因が挙げられますが、なかでも私たちが重要視しているのはコーポレートガバナンスの改善です。

日本のコーポレートガバナンスの歩み

日本では長らくコーポレートガバナンスの脆弱性が指摘されてきました。戦後の経済復興において、間接金融を軸とした経済システムが構築された日本では、銀行が融資先の株も保有する形で企業の監督役を果たしてきました。1985年には日本株の実に39.5%を銀行と保険会社が保有するという構造になっていました(出所:東京証券取引所)。しかし、1990年代には金融危機、投資の分散化、資本規制など複数要因が重なり金融機関は日本株を売却し2004年以降は10%未満に低下。2022年は5.9%へと縮小しました。金融機関の保有比率低下にともない監督役が不在の状態になってしまった企業が散見されるようになりました。

この状況が変化し始めたのは2012年に安倍晋三氏が総理大臣に就任し、翌年から成長戦略の一環としてコーポレートガバナンス改革の施策に着手し始めたことにあります。2014年に日本版スチュワードシップ・コード、2015年にコーポレートガバナンス・コードが相次いで制定され、機関投資家と上場企業双方において意識改革が促されました。この施策が時間をかけて浸透し、日本企業の意識が変化し始めました。例えば指名委員会についてみると2015年は一部市場のわずか10.5%しか設置していませんでしたが、2022年にはプライム市場の83.6%が設置するまでに増加しました(出所:東京証券取引所)。それまで密室で決められてきた経営トップ人事に透明性がもたらされる形になり、能力をベースとした人選や、先達のしがらみがない状態で経営判断ができる体制構築などが実現されるようになりました。極めつけとして2023年3月に東京証券取引所が上場企業に対して株価を意識した経営を行うように要請を行ったことで、経営者の企業価値に対する意識が一段と高まりました。このようなポジティブな変化は投資家の期待を高めることに十分な威力を発揮し、結果として34年ぶりの最高値更新につながったと考えられます。

Next Step 

とはいえ、日本企業のコーポレートガバナンス改善は、まだ道半ばです。体制を整えたことが企業業績など目に見える形で現れることが求められます。株主視点ではROEが改善するかどうかが注目点です。コーポレートガバナンス改革が始まる直前の2012年において日本企業の平均ROEは4.4%でした(出所:東京証券取引所)。2023年には9.1%まで上昇しましたが、依然としてグローバル比較では低水準です。政策保有株式や現預金などの低収益資産を多く抱えていることで、ROEが低水準にある企業の場合、経営者が合理的な判断をするだけでも収益性が大きく改善することになります。収益性が向上すれば、経営の打ち手が広がり、長期目線での判断がなされ、更なる収益性向上という好循環につながることが期待されます。

 

 

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