
2024年3月19日に日本銀行は政策金利を▲0.1%から0~0.1%へと引き上げることを決定しました。前回2007年に利上げを行ってから17年ぶりの利上げであり、2016年にマイナス金利が導入されてから8年ぶりの金利復活となりました。
一般的には金利の上昇は株式を含むリスク資産の価格下押し圧力となりますが、日本銀行が利上げを正式に発表してからはむしろ株価は上昇しました。すでに市場が利上げを織り込んでいたことや、日本銀行から「当面は緩和的な金融環境が継続する」というコメントが発表されたことなどから、市場は大きな混乱を見せることなく、大きなイベントを受け止める形となりました。日本の金融当局と市場参加者とのコミュニケーションがうまくなされていたと言えるため、日本市場の信頼度上昇という意味でポジティブな状況だと考えられます。
さて、日本銀行は物価が安定的に2%の上昇を持続できる見通しが立つことを利上げの条件としてきました。一方で急速な利上げは想定していないようですので、しばらくはインフレ率2%、金利ゼロ近傍という状況が続くということをメッセージとして発信していることになります。
カディラではマクロ経済動向のみを判断材料に投資判断は行いませんが、個別企業のファンダメンタルズ動向を予測する際に物価や金利の動向を考慮します。では、適度なインフレとほぼゼロ金利という組み合わせの場合、どのような企業が発展しやすいのでしょうか。
一つの候補に不動産業が挙げられます。金利上昇は不動産会社にとって借入金増加と割引率上昇という二つの経路でデメリットとなりますが、それらを賃料上昇メリットが上回る状況であれば、企業価値は上昇することが期待されます。金利上昇や資材費・人件費の上昇は、一方で新規物件開発を難しくするため、賃貸の需給バランスを引き締めることにつながるため、賃料を引き上げやすい状況を生み出します。不動産業界は新規物件開発を競う傾向にありますが、仮に物価と金利が上昇することになれば、既存物件の活用に力点がシフトするのではないかと予想されます。それは資源消費の抑制という点で地球環境にとってポジティブであり、フリーキャッシュフローの増大という点で企業価値にもプラスに働くことだと考えられます。保有物件のバリューアップを行ない適切に入れ替えることにより、持続的に成長することが確認できれば、資本市場からはポジティブに捉えられるでしょう。
なお、在宅勤務体系が一般化する一方で、オフィスに集ってコミュニケーションをとることの意義にも注目が高まっています。そのような状況においてはアクセスが良く、出社したくなる雰囲気のオフィスへの需要が高まるでしょう。よって、都心部に優良物件を有する大手不動産会社は、特に注目に値すると思われます。
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