2024/1/26

エンゲージメント

エンゲージメント活動の概要

エンゲージメント活動の特徴

カディラでは投資先企業に対し、ステークホルダー価値と経済的価値の向上を最終目標としてエンゲージメントを行います。その特徴は、サステナビリティ関連の議題を対話の中心に据える点にあります。サステナビリティ対応は、ガバナンス体制強化、ネガティブインパクト削減、ポジティブインパクト創出などにつながり(下図①)、結果としてステークホルダーにとっての価値向上につながる(③)と考えているためです。投資家が関心を示すことは、インパクトのように新しい分野に対して企業が意識を高めることのきっかけになります。

経済的価値を高める経路

ガバナンスやインパクトの対応を強化することは、従業員、取引先、既存顧客、株主など、企業と関係の深いステークホルダーの満足度を高めるインナーブランディング効果や、損失に対するリスク管理強化につながり、事業活動の質を高めます(②)。短期的には対応コスト増加が先行することもありますが、活動の質向上が実現すれば、それらは収益性や資本効率改善という形で経済的価値の向上につながります(④)。

上場株投資家としての貢献

なお、私たちの投資対象である上場企業は、上場を目指すスタートアップ企業とは異なり、株式発行による資金調達を必要としていない場合が多く、むしろ事業から得た資金を活用する段階にいます。その場合のエンゲージメントにおいては、資金使途について議論することが重要になります。上場企業にとって株主還元はもちろん重要ですが、それ一辺倒ではなく、社会課題解決につながるような追加性の高い活動に資金が使われるように促していくことが、上場株への投資を通じてインパクトに関与する主要な道筋であると私たちは考えています。

エンゲージメントプロセス

エンゲージメント活動の流れ

カディラは対話を通じて、投資先企業が持続可能な社会の構築と企業価値の向上を両立するための方法を一緒に考えます。

エンゲージメント活動の基盤は個別ミーティングにおける対話です。私たちは、建設的な関係を構築するために、投資先に対してコーチングアプローチを取り入れた対話を行っています。具体的には、私たち自身の対話方針を示し、相手の課題を起点に、オープンクエスチョンを軸に話を進め、最後にフィードバックを伝えるという流れで対話を行っています。対話を終えた後にはアンケートを取ることによって、企業のニーズを更に把握するよう努めています。

エスカレーション施策

企業がより多くの市場関係者と対話を求める場合、サステナブル投資やインパクト投資に精通した人々を招いた協働対話を実施します。企業にとって、専門家の意見を収集し、人的ネットワークを拡大する機会となります。

仮に、企業のファンダメンタルズや対話姿勢が当社の意向にそぐわない方向へ進んだ場合には企業に修正を求めます。当社の要望が一定期間受け入れられない場合は売却を検討します。

カディラの対話の優位性

カディラが注力する、サステナビリティ対応と企業価値向上を結びつけた議題は、企業側のニーズが強いことから、私たちとの対話を有益に感じてもらえます。

カディラは欧州投資家や国内インパクト投資コミュニティとの対話を通じて培ったサステナビリティに関する知見を企業に提供しています。また、IIVによる企業価値計測結果を示すことで、サステナビリティ対応と企業価値の関連性を示すロジックを伝えています。

議決権行使

議決権行使においては、投資先企業の株主総会の全議案について、投資運用部が判断した上で行使しています。経営方針に賛同した上で投資しているため、基本的には経営陣を支援しますが、株主を含むステークホルダー全体の利益に反する場合は、例外となります。議決権行使結果は、ウェブサイトで公開しています。

エンゲージメント活動内容

活動件数

2024年におけるのエンゲージメントの件数を集計し、その結果を下のグラフに示しています。企業調査に関する活動件数の合計は、496件で、そのうち説明会などを含むミーティングの件数は377件です(広義のエンゲージメント)。活動件数全体とミーティングの差分は企業の発表書類の確認などを行った件数です。ミーティングのうち141件は投資先企業と行い、残りは新規投資候補などと行いました。投資先企業とのミーティングのうち、他社が同席しない個別ミーティングが100件、そのうち93件は、企業活動を支援する目的で行いました(狭義のエンゲージメント)。

エンゲージメントの議題

狭義のエンゲージメント93件では、合計141のテーマについて議論を行いました。1回のミーティングあたり1.5の議題について対話を行った計算になります。

その内訳を示したのが、下の円グラフです。最も多くの割合を占めたのが「インパクト」です。これは、当社が企業に対してインパクト創出に関する事業についての意見交換を求めたケースや、インパクトKPIの設定を働きかけたケースなどが含まれます。また、企業側からマテリアリティについてのフィードバックを求められたケースもあり、当社と企業の双方が関心を寄せたことが、この結果に反映されていると考えられます。

エンゲージメントの成果(企業の変化)

カディラでは独自のスコアリングシステムを活用し、ガバナンスやインパクト管理など、投資先企業のサステナビリティ対応状況をモニターしています。これは、インパクト統合価値(IIV)を用いて企業価値を計算する段階で収集する各種データを元にした、100点満点で評価されるスコアです。このスコアは、エンゲージメントを行う際の有効な参考データとなります。

下の表では、投資先企業のうち、過去1年の変化(2023年12月と2024年12月のデータ)を取得できる30社のスコアの単純平均値を示しています。過去1年で平均スコアは7.5%改善しました。この要因は、企業の対応が改善したこと、開示が進んだこと、データ収集精度が上がったことなどが考えられます。

また、下の表では株価評価の変化についてもあわせて示しています。上記30社についてPBR、PER、ROEを算出したところ、それぞれの値が東証プライム市場と比較しても高い改善率となったことが確認されました。

成果に対する自己評価

良好なデータとなりましたが、この結果をもってエンゲージメントが株価評価にプラスの影響をもたらしたと断言するのは拙速でしょう。より納得感のある結果を得るためには、エンゲージメントがパフォーマンスに影響を与えるまでの時間差や、外部環境の変化など、エンゲージメント以外の要因を考慮する必要があると考えており、更なる分析手法の高度化を進める方針です。

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